あわてんぼうの子ウサギ、みみちゃんはにんじんと間違えて唐辛子を食べてしまい、口がからいよお! と川へ駆け出して行きます。
その川原で小熊がケンカをしているのを見て「たいへんだあ」とみんなを呼んだら、小熊たちはただお相撲をとって遊んでいただけ。また、みみちゃんがあわてたんだね、と森の動物たちはため息をつきます。今度は慌てないようにしようとみみちゃんは思うのですが、うまく行きません。すぐに早とちりをして慌てふためいてしまいます。そのたびに森は大騒ぎ。さて、小鳥さんがそんなみみちゃんの慌て癖を治す方法を教えてくれるのですが・・・。
子供向きのマンガにさえ暴力描写や性的な描写があふれている時代を憂えた手塚治虫が、本当に安心して子供たちに読み聞かせることができる作品を、との思いを込めて綴ったかわいらしい絵本です。あわてん坊の子ウサギが巻き起こす次から次への大騒動は幼い子供たちをキャッキャと楽しませ、その上で、どんな時も一歩立ち止まって、ゆっくり周りを見まわしてみようと教えるのです。こんな絵本を読み聞かせられて育てられたら、ボールを追いかけて道路に飛び出す子供も少なくなるかもしれない。そう思わせてくれる作品です。