手塚治虫のライフワーク『火の鳥』の、未完となった幻の第1作です。
2世紀後半の神話時代の日本。溶岩の火事から火の鳥の卵を救った少年イザ・ナギは、お礼に火の鳥の生き血をもらいます。
火の鳥の血を飲んで、3000年の生命をもったイザ・ナギと妹のイザ・ナミは、火の鳥の子どもと、子どもを守っていた猿のヨタ、うさぎのポポ、カメのノロとともに、新天地を求めて丸木船で、北へ旅立ちます。
そして、ある島に流れ着いた彼らは、そこの住民から天照大神(あまてらすおおみかみ)の名をもらい、部族の生き神さまになりました。
一方、火の鳥のうわさを聞いた隣の国・邪馬台国の女王卑弥呼は、家来の猿田彦に命じて火の鳥を捕えさせようとします。
(未完)
火の鳥・黎明編[漫画少年版]
1954/07-1955/05 「漫画少年」(学童社)連載
雑誌「漫画少年」で『ジャングル大帝』の連載が終了したあと、新たに連載が始まったのが、この『火の鳥・黎明編』です。
しかし同誌が休刊となったため、連載は8回で中断し、未完となってしまいました。
手塚治虫は、後に雑誌「COM」に、構想を新たに再び『火の鳥・黎明編』を描いていますが、この「漫画少年」版では、サル・ウサギ・カメがレギュラー・キャラクターとして登場するなど、よりファンタジー色の強い作品となっています。
またこの「漫画少年」版では、火の鳥の母親は、卵が孵るまでは不死身ですが、子どもの誕生と同時に、その卵の出す熱と炎に焼かれて死ぬという設定になってる点も、後の『火の鳥』とは違っています。