ブラック・ジャック カルテX しずむ女
三ヶ月病。それは三ヶ月湾で捕れた魚を食べる近隣の住民たちの体にさまざまな症状が現れる公害病だった。原因は満月川の中流域に工場群が誘致され、その工場廃液が川から海へと流れ込んだのが原因だ。国は三ヶ月病救済委員会を設立する。救済委員会医師グループのフォックスは、ブラック・ジャックに特別ブレーンとして参加を求めた。三ヶ月市近郊に宿を取ったBJとピノコは、三ヶ月湾で捕れる魚を売って一人で生活している少女「月子」と出会う。月子は病に犯されながらも、懸命に生きていた。社会的な弱者である月子と接していくBJは、どんな状況の中でも本能のまま自由奔放に生きる月子の姿に、憧れに似た感情を抱くようになる。病を作り出す人間の強欲と、その凶暴なまでの社会悪の前に握りつぶされて行く、一輪の花のようなけなげな命。守らなければならない者を救えない医学に、なんの価値があるのかと、見るものの胸を激しく揺らす、そんな一編です。
(C)手塚プロダクション/秋田書店/バンダイビジュアル

2000/07/25

ブラック・ジャック

ピノコ
演出:桑原智