「火の鳥」の全編の中でも、仏教的な輪廻転生にフォーカスを当てて描かれた佳編、鳳凰編が、劇団わらび座によってミュージカル化されます。今月の虫ん坊では、11月7日に新宿の風林会館で行われた、制作発表会のもようをレポートします。 |
フォトセッションのあと、まず劇団わらび座代表、是永幹夫さんよりの開会の挨拶がありました。 |
是永さん:「私たちと手塚治虫先生とのご縁なのですが、20年前、1987年の冬に、創立者原太郎と対談をさせていただいたことがきっかけでした。「火の鳥 鳳凰編」は劇団員にもファンが多く、また、「いのちの火をともし続けること」「人間の再生」をミッションとして掲げる当劇団の象徴として、「火の鳥 鳳凰編」を企画させていただきました。」 |
続いて、各スタッフより、それぞれの立場での「火の鳥 鳳凰編」への意気込みが語られました。 |
演出・栗山さん:「10年前に関わった日生劇場の『火の鳥』では、2幕もので黎明編・未来編を上演したのですが、そこから手塚ワールドにはまってしまいました。この舞台では、やりのこしたことがたくさんあり、もういちど火の鳥に挑戦したいと思っています」 |
脚本・齋藤さん:「わらび座さんは割りと小さなカンパニーですが、そこで凝縮して、『火の鳥』のような、「人間とは何か」「生きるとは」「死ぬこととは何か」という大きな、哲学的なテーマこそ、コンパクトなカンパニーで作れるんじゃないか、と思っています。脚本としては、セリフより歌詞のほうが多くなる予定で、わらび座にも、僕にとってもたいへんな冒険になると思います」 |
音楽・甲斐さん:「手塚治虫の『火の鳥』は、深く大きなテーマで描かれております。宇宙と人間の命というものに光を当てた壮大な人間絵巻を、どう音楽で表現できるのか、と今からわくわくしています。わらび座の特色である、日本の風土に根ざした演劇形態を、この作品のなかで取り入れて、生かしていきたいなとおもっています」 |
美術・妹尾さん:「皆さんがよくご存知の『火の鳥』で、全国の方々に見てもらえることを、とても楽しみにしています。手塚さんが描く『火の鳥』には、輪廻転生という言葉が何回も出てきます。僕は、手塚さんが『火の鳥』という一つの象徴で、命の連鎖、つながりというものを描かれたのだと思います。僕らも、この作品を通して、『火の鳥』の伝えたかった「命の連鎖」というテーマを、全国の皆様に伝えることができれば、と思っています」 |
続いて主要出演者三人が登場、「火の鳥 鳳凰編」の船出を祝し、漁師の「ドヤ節」を披露。その後、茜丸を演じる戎本みろさんより、出演者としてのコメントがありました。 |
「この作品に携わるにあたって、『火の鳥』を読み返して感じたことは、手塚先生が今の私たちに伝えたいことは、まだまだたくさんあったのではないか、ということです。そういう志を引き継いでいくのは、今生きている自分達の責任だと思っています。今の時代に『火の鳥』に関わることの責任やプレッシャーとともに、人間としての喜びや誇りを感じています。この作品に関わる方々とともに、力を合わせて、今生きる人々に存在価値のあるミュージカルを作っていきたいと考えています」 |
制作発表会では、そのほか、新宿区長中山弘子さん、角川書店取締役宍戸健司さん、手塚プロダクション社長松谷孝征より、応援のコメントがありました。 |
新宿区・中山区長:「文化を発信できる町を目指す新宿から、このミュージカルを発信できることをうれしく思います。今回の取り組みには、力いっぱい取り組んでいきたいと思っています」 |
角川書店 宍戸取締役:「わらび座とは編集者時代から、10年来のお付き合いをさせていただいています。手塚作品というのは出版界の宝で、その宝を僕の大好きなわらび座が舞台化するということであれば、ぜひ協力せねば、と名乗りを上げさせていただきました」 |
手塚プロダクション 松谷社長:「このような豪華メンバーで『火の鳥』が舞台化されるということで、もしここに手塚治虫がいたら、大変喜んだだろう、と思います」 |
この制作発表会で、スタッフ・出演者ともにたいへんな熱意でミュージカル『火の鳥』取り組まれている様子が伝わってきました。いやがおうにも公演が楽しみになりました。 |