12月に天王洲銀河劇場で公演が決まっている手塚治虫原作の「アドルフに告ぐ」。 |
――作品との出会い
劇場は2年前、作品は1年前に絶対決めなきゃいけない。前はこんなことはなかったんですがこのごろ特にそうなってきていまして。 |
アドルフもそうですが、登場人物の置かれている状況やどういう人生を歩んでいるか、せつなさや孤独感に自分の心がグッと寄り添ってしまった瞬間に、「あっ、もうこの作品は演りたい」って思ってしまうんです。 |
ちょうど劇団創設10年目に「トーマの心臓」に出会ったんですが、うちが男性ばかりの劇団員で構成されているものですから、『なんでギムナジウム物をやらないの?』とおっしゃって下さる方がいたんです。知らなかったから質問した所、『あなた萩尾望都を知らないの?』と言われまして、お名前は存じ上げていますが作品は読んだことが無いんです。って言ったら「トーマの心臓」を貸して下さったんです。それまで、あまり少女漫画って読んだことが無かったんです。 |
男版宝塚と言われるのも見て頂いた方とかマスコミの方につけて頂いたので、特に強く意識していないですね。 |
キャスティングについては主役と狂言回しの峠は決まっていて、それ以外は何となくイメージの中ではあるんですが、やはり脚本の形が出来上がってきてからとは思っています。 ◆インタビュー当日お持ちになっていたアドルフに告ぐ 今の状況は、うじうじと悩んでいる所です。原本がしっかりありますので、内容を全部やらせてもらったら、2日か3日かかってしまうので(笑)、それを時間内に収めるのにいつも凄い苦労するんです。。。 本の入口がアドルフ・カウフマンに沿って行ったので、構想としてはそのラインで進めようと思っています。2人の少年がどういう風に時代ともう一人のドイツに住むアドルフによって運命を翻弄されて行ったかということを追っていくという芝居になって行くと思います。 |
この作品の中のたった少しだけを切り取らせて頂くのだけれど、作品に対する手塚先生のメッセージだけは絶対に織り込ませて頂きたいと思っています。 |
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