7/12から始まった宝塚手塚治虫記念館の「手塚治虫 原画の秘密」展。
切り貼り、ホワイト(修正液)、コマの並べ替え…一部ファンの間では手塚先生の修正・加筆の多さはよく知られている所ですが、それは常にベストなマンガを読者に届けたいという熱意の結果でした。

描き直しの跡が残る原画やボツになった原画などを通して紹介するという今回の企画展を、初披露の蔵出し画像と共にレポートします!

まず、2F展示会場に上ると、膨大な量の原画の山が迎えてくれます。 その数何と15万枚!!これが手塚先生が生涯に描いた原稿の量です。並べて積まれているとは言え、目の前にするといかに膨大な量か分かりますね。

原画を描き、指示を出し、真剣に「マンガ」と向き合う先生の眼差しが伝わる写真の横に壁一面の作品群があり、先生の机、実際に使っていた道具を見ると当時の緊張感が伝わってくるようです。

       

そのプロローグを通り過ぎると今回のテーマである、原画のコーナーに入ります。 実際の制作プロセスに沿って、アイディアメモから完成原稿まで現存する原画が展示されて行きます。まさに手塚マンガが作られていった過程を生で感じる事が出来ます。

他にも、着彩された原稿やカラーの表紙原画など普段なかなかお目にかかれないものや、お蔵出し原画がいっぱいです。
夏休み。手塚マンガのルーツを探しに宝塚に足を運んでみてはいかがですか?

―スペシャル情報―

なんと、今回の「手塚治虫の原画の秘密」展の開催を知った、元ブラック・ジャックの編集担当の一人で、今は幻冬舎コミックスの代表取締役 伊藤嘉彦社長から、お役に立てればと言うことで【ブラック・ジャック −虚像−】の途中原稿コピーが手塚プロダクションに持ち込まれ、お借りする事が出来ました。

この原稿は伊藤氏が編集者として初めて受け持った仕事であり、氏はこの途中原稿を預かった際、ご自分の初めての仕事の記念にと、このコピーを大切にとっておいたと言います。

なぜ、この途中原稿コピーがそれほど貴重で、手塚プロには現存していなかったかをちょっと説明しますと、マンガ制作の際、制作スタッフ間で物語の流れを共通認識出来るように、途中段階のコピーをまわしたりすることがあるそうです。
しかし、そういったいわゆる“途中原稿“を手元に残しておくと、どの原稿が本物か、どれが最終なのか分らなくなる可能性があるということ言う事で、手塚プロダクションでは、その途中原稿が必要無くなった時点で処分していたそうなのです。
その為、今回展示しているものも含め“途中原稿のコピー”は手塚プロダクションにもほとんど残っていない大変貴重な資料になります。
そう言った意味においても、このブラック・ジャックの虚像に関しては、まさにお蔵出しの資料になるかと思います。

手塚プロダクションでは、この貴重な資料を「最終原稿」と比較し、手塚治虫記念館企画展内で展示するべく現在話を進めておりますのでそちらもご期待してお待ちください。