↑祝賀会場に飾られた、氷のアトム像。

 2003年6月5日、朝日新聞東京本社にて「第7回手塚治虫文化賞 贈呈式・祝賀会」が開催されました。手塚治虫の業績を記念して、朝日新聞社が1997年に創設して以来、すでに権威ある漫画賞として定着してきた感のある「手塚治虫文化賞」ですが、今年は新設の賞もあり、多彩な顔ぶれの漫画家が受賞しました。





マンガ大賞:
高野文子氏
 『黄色い本 ジャック・チボーという名の友人』(講談社)
新生賞:
作・ほったゆみ氏 画・小畑健氏
 『ヒカルの碁』(集英社)
短篇賞:
いしいひさいち氏
 『現代思想の遭難者たち』(講談社)
 『ののちゃん』(朝日新聞社朝刊連載)
  など一連の作品に対して
特別賞:
水木しげる氏
 独創的な画業と長年の活躍に対して



 贈呈式では、壇上にてアトム像の贈呈が行われた後、各受賞者のスピーチがありました。  「マンガ大賞」を受賞した高野文子さんは、「今回の70Pの作品には、私が習い覚えた漫画の技を、ありったけ使ってしまうような描き方をしてしまいました。ですから、今日はなんとなく晴れ晴れとしています。私は、同業の方達の前では、これまで結構カッコつけてきましたので、『高野に賞をあげても、あまり喜ばないんじゃないか』と思ってらっしゃる方がおいでかと思いますが、今日はとっても喜んでおります」
 と、受賞への喜びをのぞかせていました。







 今回新設された「新生賞」のほったゆみさんと小畑健さんは、それぞれ「夫と2人で20年、色々な漫画の仕事をしてきましたが、まさか40才を過ぎて少年ジャンプの仕事が入るとは思ってもいず、プレッシャーはすごいものでした。それでも担当編集の方や小畑先生からたくさんの事を学ばせていただき、本当に楽しい4年半でした」「本当に囲碁の世界が子供達に受け入れてもらえるだろうのかという不安が正直ありました。碁石や碁会所といった、あまり馴染みの無いビジュアルが作品にたくさん出てくるので、そういう1つ1つの物をていねいに描く事によって、読者の人達に囲碁の世界を知ってもらえたらな、と思って描いていました」
 とコメント。






 「特別賞」の水木しげる先生は「会合にいくと、手塚さんや石ノ森さんがいつも徹夜自慢をする。私は生まれつき眠りに対して弱いタチでしたが、これが今日の健康につながっています。半分寝ぼけたような一生でしたけど、これが良かったわけです。自然な眠りを大事にしなきゃいけないから、『眠り教』でもおこそうかと思ってるんです。眠りはあまりにも皆が粗末にしていますから、あれはいけないと思いますよ。これで私の眠り教の講話を終わります」とコメントし、会場の笑いを誘いました。


 なお、「短編賞」を受賞したいしいひさいちさんは残念ながら式を欠席。読者と担当編集者への感謝のコメントが司会者より紹介されました。



←贈呈式でスピーチする手塚眞さん。「今回の受賞作を見ても、漫画は日本を代表する素晴らしい文化となっています」