ファンの間で話題沸騰の劇場アニメ「ぼくの孫悟空」、ついに7月12日公開!
  「虫ん坊」では、その公開に先立ち、特別に男性3名・女性4名、計7名のファンクラブ会員および手塚ファンを試写会に招待して、映画の感想を書いていただきました。
 これから劇場へ足を運ぶ皆さんにも、ファンの“生の声”として、ぜひ参考にしていただきたいと思います。それでは、じっくりとお読みください!



 とてもドラマチックでスピード感もあり、大変楽しく観ることができました。
 三蔵法師は、とても厳しく高貴な人。というイメージがあったのですが「ぼくの孫悟空」の三蔵様はちょっぴり頼りなくて、いつのまにかトラブルに巻き込まれている感じがとても面白可愛く、親しみを感じました。

 優香さん演じる孫悟空もとっても元気ですばらしかった!笑い声なんか本当に「おさるさん」って感じで可愛かったです。手塚先生の漫画「ぼくのそんごくう」も是非読んでみたいと思います。




 この映画を見る前に手塚先生の原作を読み直してみました。文庫本4冊に分かれる作品が、はたして95分に入りきるのだろうか?映画の「ジャングル大帝」の時のようにストーリーを追うだけになってしまうのでは?など少し不安がありましたが、テンポも良くあっという間に時間が過ぎてしまいました。
 主人公の孫悟空がアトムを連想させます。生まれたてのアトムが、様々なことを体験し、学んで成長していくように悟空も成長していく姿が印象的でした。
 また、猪八戒や沙悟浄の新しい解釈、崑崙というキャラクター、そしてラストのシーンなど多分に夢枕獏氏のスタイルが反映されているようです。悟空が三蔵法師の元に帰ってくるところには「う〜ん」とうなってしまいました。うまい!きっと獏氏や手塚文芸部の方たちが一番苦労したところではないでしょうか。エンドタイトルに出てくるシーンも面白く、最後まで席に座っていないともったいないと思いました。
 ここで、2つの疑問 、
(1)どうして愛鈴だけがニホンザルのように尻尾が短いのか。
(2)沙悟浄に馬をさらわれ民家に宿を頼むシーンで、三蔵法師の横に馬がいたのはなぜ?(一瞬なので、もしかすると自分の思い違いかもしれません。その時はごめんなさい)


 この疑問を解くために、また見に行ってみたいです。最後に、この続編を映画かTVで作ってください。




 正直、当初は何故この時に「ぼくの孫悟空」なんだろう?と思いました。しかし映画を見て納得です。久々にやんちゃで元気一杯の主人公が活躍するアニメ映画だったからです。不況の続く日本、戦争や痛ましいニュースなどで世間全体が暗い中、画面一杯に暴れ回る悟空の何と痛快な事!

 そして暴れ回るだけではなく、力だけでは何も解決せず、自分を思う人がいる事の大切さ、「気付く」という事の重大さを教えてくれる素敵な映画でありました。更に「旅」の楽しさも教えてくれます。情報過多なこの時代、引きこもりの子や「何となく」生きている子が多い中で悟空は自らの意志で動きます。自分も「冒険」してみよう!と思わせてしまう位ワクワクさせられる、パワフルな映画でした。
  絵に関してもとっても美しくて申し分ない出来です。特に中国の背景の広大さ、色彩のリアルさ等は自分も中国にいるかのような錯覚を起こしてしまう程でした。キャラクターもすごくよく動いて気持がいいし、表情も良かったです。ただ惜しかったのは、プロローグが長いと感じた事でした。悟空というキャラクターの説明には充分なのですが、充分すぎて、三蔵法師、沙悟浄、猪八戒の印象が少々薄いように感じられました。勿論協力しあってはいたのですが、割と最後の方まで悟空が一人で戦っていたという印象があります。せっかく手塚治虫ならではの性格づけされた3人、ちょっと勿体なかったですね。三蔵法師視点の悟空というのも見てみたかった気が致します。三蔵法師と出会った悟空が他人を大切に思う所と同時に、臆病な三蔵法師が悟空と出会った事によって勇気を持っていく所もドラマの中にもう少し欲しかったです。「出来事」の描写は満足なのですが、「感情の変化」の描写には少々物足りなさを感じました。でも全体的には良作で面白かったです!ある意味「アトム」と対になる主人公ですね。
  楽しい映画をありがとうございました!