↑女性はかなり満足できますね。 尚且つまたデザートが良くて… ↑とにかく見た目が綺麗で美味しそう! でもって旨いんだな。 ↑ビルの地下にあるとは思えない? 実に趣のある入口です。 |
手塚るみ子さんが案内役となって手塚先生の大好物をご紹介するこのコーナー、4回目の今月は、るみ子さんと手塚先生の思い出のお店、吉祥寺にある「采」です。 懐石というと、とてもかしこまった感じがしますが、こちらではカジュアルに、そして四季のものを堪能できるすてきなお店です。 グルメ・ド・オサムシ 4 懐石料理「采」 父は何かモチベーションがある度に、私たち家族をよく食事に連れてってくれた。けれど父と二人きりで食事をするなんてことは、めったにまずありえなかった。父が忙しいせいもあったが、それ以上に年頃の娘として、父親と二人で食事なんて照れくさく抵抗があった。いつだったか羽田空港のレストランで、たまたま父と二人でテーブルに着くことがあったが、なんだか妙にぎこちなく、会話の続かない状態に戸惑った覚えがある。 そんな父と初めて二人だけで食事をしたのは、私が「家を出る」と言い出した24歳の時。父から「母ぬきで話をしよう」と言われ、吉祥寺のこの「采」という店に来てもらったのだ。当時「采」は開店したばかりの店で、モダンな店内でお洒落に懐石を頂けると評判だった。私は父娘のスペシャル会合に相応しい場所として、ここを選んだのだ。 さすがに十数年も経てば、店の内装も変わり、父と座った席も無くなってしまっている。けれど壁のデザインや照明の雰囲気などは当時の面影を残していて、懐かしさと、ちょっと切ない気持ちを甦らせるには十分だった。懐石メニューも今は違った内容になっているが、板長さんは当時からの方だと伺って、なんだかちょっと嬉しくなった。 あの時の父は、胃の手術をしたすぐ後だったので、せっかくの懐石料理も僅かに摘む程度だった。私はといえば、とにかくやたら興奮気味で、何をどう食べたかも思い出せない。確か鳥のささ身を使った料理を父が「美味い」と言ってたような…。今回のお料理には鳥のささ身はなかったけれど、季節感のある、素材の味を活かしたお料理を、今度こそじっくりと美味しく味わう事が出来た。 いろんな思い出がある中で、この店は私にとって最も大切な父娘の時間を過ごした場所だった。目まぐるしく移り変わる吉祥寺の街で、どうかいつまでも残っていて欲しいと、あらためてそう思う。 ←当時のまま残る壁面の前で店長の鈴木さんと。 |
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