現在のトキワ荘跡地周辺
と思われる空き地→





↑西武池袋線 椎名町駅

「トキワ荘」といえば、熱心なマンガファンならずとも、1度は耳にした事がある名前ではないでしょうか。手塚治虫をはじめとして、寺田ヒロオ、藤子不二雄A、藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、水野英子ほか、大勢のマンガ家達が若い頃に入居していたことで有名なアパートです。

現在では残念なことに、トキワ荘はなくなってしまいましたが、周辺にはまだまだ当時を思わせる建物やお店などが残っています。今回は、『サボテン君』の担当編集者であった福元一義さんに案内役をお願いして、トキワ荘の周辺を歩いてみました。

取材当日は、西武池袋線の椎名町駅で福元さんと合流し、トキワ荘の所在地である豊島区南長崎3丁目(旧住所では椎名町5丁目)まで向かう事にしました。途中、目白通り沿いのバス停で福元さんが、「ある時、手塚先生を尋ねたら留守だったので、編集部に帰ろうと思ってこのバス停に立っていたら、先生がタクシーの中から手を振りながら目の前を通りすぎて行ったんです。あれは腹が立ったなあ」と笑いながら話してくれました。

さらにしばらく行くと、短編『トキワ荘物語』(漫画全集『紙の砦』収録)にも出てくる「子育地蔵尊」を発見。そしてその先を右に曲がると、目印となる電話局のビルがまだ残っていました。「当時はこの電話局が一番大きな建物だったんだけど…ここには公衆電話があって、よく利用しましたよ」と福元さん。この電話局の前にトキワ荘に通じる路地があったはずなのですが、その一帯はガラリと変っていて位置がハッキリしません。近所の方にトキワ荘があった場所を聞き、そこにも行ってみましたが、やはりどこからどこまでが敷地だったのかはハッキリわからず、残念でした。

最後に、藤子不二雄A先生の自伝漫画『まんが道』に出てくる中華料理店『松葉』を発見。『まんが道』を読まれたことのある方ならご存じかと思いますが、ここのラーメンはトキワ荘のマンガ家達が、とにかくよく食べています。

『トキワ荘物語』の中に、手塚治虫が自炊をする寺田ヒロオに「外にたべにいきゃらくなのに…」と話しかけるシーンがありますが、きっとこの「松葉」にも食事しに来たのだろうな…と考えながら、取材地をあとにしたのでした。



↑ここがそのバス停


↑子育て地蔵尊


↑当時からトキワ荘前にあった電話局


↑トキワ荘メンバーが通った
中華料理店