いきなりですけど、ぼく大学中退なんですヨ。
 だからプロフィールだと、最終学歴は高卒。
 デモ、大学在籍中にすでに仕事始めてましたし、就職とか考えたこともなかった。
 実を言うと、自主退学。
 先生が「キミはもうプロとして仕事をしているのだから、学校に来る必要ないんじゃないの?」っていうので、「ハイ」といって退学届けを持って行ったんです。
 「大学辞めます」って父親に言ったら、さすがに「学歴で困ることがあるよ」って、親らしいひと言がありましたけど。
 ムカシは漫画家の地位が低かったので、父は学歴で悔しい想いをしたらしいのです。
 ぼくは今のところ学歴で困ったことはありません。父親の頃とは時代が違うのです。
 別に中退を勧めているワケではありません。
 けれども、実際に卒業していないのですから、まだ学生気分なんです。
 卒業すると、そんな気分を忘れてしまうヒトがおります。
 「もう子供は卒業だ」とか「もうムカシの自分は卒業だ」とか。
 ぼくはそれがイヤなんですね。
 卒業しただけで急に大人になったり偉くなったりするもんじゃない。
 なのに子供並みのアタマで大人ぶったり、本当はエラクないのに後輩の前で偉そうにしたり。ヤレヤレ。
 だからぼくは、とりあえず死ぬまでなにも卒業しないつもり。
 学生気分のまま、子供のココロのまま、生きていきます。
 死んだら、やっと卒業かな?
 死んだ後は、次への入学が待ってる感じ。
 『火の鳥』じゃないけど、輪廻転生って信じている。もっとも、父とはちょっと考えが違うかもしれません。ヒトが死んだあといきなり鳥になったり虫になったりはしない。
 ヒトを卒業するまでは、ヒトであり続けるんじゃないですか。
 ヒトとしての魂がじゅうぶん成熟した、という頃にヒトは卒業なんでしょうね。
 もちろん「ヒト」っていうのも、いってみればどこの学校、みたいな感じで、ヒト以外の存り方もあるでしょうし…。
 なんか、ムズカシイ話になっちゃいましたネ。
 サテ、1年間お読みいただいた『天才の息子』ですが、如何でしたでしょうか?
 連載卒業記念(?)にプレゼントをしようかな。
 ムカシ作ったビデオ『妖怪天国』がDVDになります。手塚治虫、水木しげる、楳図かずお共演の妖怪ドラマ。こんな頃もあったなア。3月20日発売ですが、これを天才の息子のサイン入りで1名に厳選プレゼント。連載の感想を3月20日までに送ってネ!

ヴィジュアリストとしての手塚眞の活動やエッセイが読めるのはこちらです。
よかったらどうぞ。
http://www.neontetra.co.jp

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