正月が近付くと、いつもどこかに出かけようって考えるのだけど、けっきょく家でのんびりするって計画になる。
 大晦日の夜だって、どこにも出かけない。
 カウントダウン・イベントのお誘いはあるのだけれど、申し訳ないけど家にいます。
 好きな映画のビデオでも観て、好きなシャンパン飲んで、思いっきりくつろぐ。
 仕事がら、毎日がお祭りのような慌ただしさを送っているから、正月の間ぐらいは何もしない、何も起こらないのがいいな。
 特別なときぐらい、フツウにしていよう、と…。
 そのムカシの天才家のお正月。
 特に変わったことはなーんにもアリマセンでした。
 正月は、ちゃんと天才も家にいてくれる。
 年越しそば食べて、除夜の鐘聴いて、朝はお屠蘇飲んで雑煮食べて、初詣に出かけ、庭で羽つきして、テレビ観て…。
 まー、ふつうの家庭と違うところは、年賀状の数でしょうか。
 ダンボール箱で、ドカッと何箱も来ましたよ。
 何千、何万通ってあったんじゃないかな。
 もちろんほとんど手塚治虫宛て。ファンの人からもたくさんある。
 その中に、わずかに家族の分が混ざっている。
 ぼくはその仕分けをするのが妙にスキだった。
 おせちを食べるのもそこそこに、手紙の山の前に座って、これは父の分、これは母親宛て…、とパッパッと手際良くさばいてゆく。
 なんか郵便局員になった気分。
 子供のころから、整理魔なんですよ(笑)。
 いまでは自分のところにも、ダンボールってワケではないけど、何千通って来るようになった。それだけ友達や知り合いが増えたってことなんでしょうか。
 年々、枚数は増えてゆく。で、いまでもやっぱり仕分けるのが楽しみ。
 休みの間にこっそり自分の会社(手塚プロじゃありません)に出かけて、社員の分まで仕分けてしまう。
 ヘンな社長ですネ。
 この先、年賀状がすべて電子メールに変わってしまわないことを祈ります。
 だってメールじゃ、仕分けの楽しみないんだもん。
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