新春ということで、TezukaOsamu@の今後がどうなっていくのか?2002年も昨年の宇多田ヒカルさんの声優デビューのような皆がワクワクするようなニュースが期待できるのか? 今後のTezukaOsamu@の展開について、手塚プロダクション 著作権事業局開発部 プロデューサー 木渕雅之に聞いてみました。 |
―――21世紀の幕開けはTezukaOsamu@Worldの全面リニューアル公開から始まりました。World、Cinema、Bookと、3つのTezukaOsamu@がスタートしましたが、振り返ってみていかがでしょうか? まずTezukaOsamu@Worldについて聞かせてください。 |
木渕:もう遠い過去のように感じているのですが、まだ1年なんですね。(笑)
TezukaOsamu@Worldは、手塚治虫なら21世紀の幕開けには何かきっと面白いことをしたであろうと思い浮かべながらの制作作業でした。まだまだ手塚治虫公式サイトとしては不完全ではありますが、こうして1周年を迎えることができスタッフ一同ホッとしています。アクセスいただいた方々に喜んでいただけていることが幸いです。 |
―――では、2002年のTezukaOsamu@Worldで大きな変化などありますか? |
木渕:最も大きな変化は英語版を日本語版と同じ規模で公開することです。現在、5人の翻訳者が英語版のための翻訳作業を進めています。目標は4月7日です。 |
―――2001年は手塚プロダクションにとって、インターネット向けアニメーション作品のスタート年でもありました。インターネットアニメ「ブラック・ジャック」について聞かせてください。 |
木渕:最初ということもあり、インターネットのメリットを活かした企画にしたいと考えました。TVと比較してインターネットにある最も大きなメリットは双方向性にあります。この双方向性をアニメーションに取り込むために今回はFlashという技術を使用したアニメーションとなりました。まだご覧頂いていない方もいらっしゃると思いますので簡単に説明しますと、アニメーションに登場するキャラクターに触ったり呼びかけたり、ストーリの途中で視聴者が選択することでストーリー視点が変えられたりできるようになっています。
少し話が脱線しますが、今回のような特徴をアニメーションに加えることで子供の頃のことを思い出したりしました。私が良く観ていたテレビ番組に「8時だよ全員集合!」がありました。同世代の方々ならわかってもらえるかと思うのですが、自宅でブラウン管のこちら側からしか見ることができなくて、会場で実際にドリフターズを目の前に観ている子供たちが羨ましかったです。私も「志村〜後ろぉ〜!」「加藤〜あぶな〜い!」と叫びたかったものです。(笑) 手塚作品ではありませんが、ウルトラマンが背後から襲われそうな時に「ウルトラマ〜ン、危な〜い後ろ〜!」とピンチを救ってあげられたら、ウルトラマンが「教えてくれてありがとう」って言ってくれたらうれしいでしょうね。 |
―――ブラック・ジャックでは、大塚明夫さんと声優デビューとなる歌手の宇多田ヒカルさんが共演するということで驚いた方も多かったと思いますが? |
木渕:ブラック・ジャックは劇場版やOVA版でもお馴染みの大塚明夫氏にお願いしました。虫ん坊の9月号でスペシャルインタビューさせていただいていますが、これほどハーレーダビッドソンが似合う方もいないのではないでしょうか。見た目の厳つさ!?とは異なりとても紳士な方です。収録の際にバイクでやって来られる訳を聞いたのですが、仕事で熱くなって帰るとなかなか寝付けないこともあったそうです。それがバイクで帰ると仕事で熱くなったものが洗い流されるようで、家につく頃にはリラックスできているそうです。う〜ん、カッコ良いですね。 ピノコは宇多田ヒカルさんにお願いしました。昨年4月中旬、都内でヒカルさん本人に今回の企画を話したところ、快諾してもらいました。私にとって原作のピノコはとても頭の回転の速い女の子で、少し未来も見えるような不思議な力を持っている・・・そんな印象があったんです。宇多田ヒカルさんはそんな私のピノコ像に重なるイメージがあったので、最初から候補は一人でした。 私自身が快諾に驚いたくらいですから、私の周りもピノコ役が決まっと話した時には全く信じてもらえなかったんですよ(笑)。 |
―――今後のTezukaOsamu@Cinemaはどうなりますか? |
木渕:現在ご覧頂いているブラック・ジャックが2月末で終了します。その後の新作については企画中です。過去の手塚治虫アニメーション作品については、ご覧頂く方々にとって気軽な便利なものであるよう考えています。現在DVDとしての手塚治虫アニメワールドが好評いただいていますので、高画質のDVDパッケージとのサービスターゲットは変わってくるかと思います。 |
―――そして2001年の締めくくりは手塚治虫マンガを電子書籍化してインターネットを通じて配信するサービスがスタートしました。このTezukaOsamu@Bookについて聞かせてください。 |
木渕:最初に誤解がないようにお話しますと、やはりマンガは紙の本で読むことが最良だと私は思っています。残念ながら、紙の本の流通には限界があります。例えば街の本屋さんに陳列できる書籍数には限りがあります。手塚治虫の作品を全て扱ってもらうことはできません。海外からメールで頂く要望にマンガを安く購入したいとの要望があります。海外では日本で購入する価格の数倍で販売されていることが多く、そういった方々にも気軽に購入していただく手段を提供したかった思いがあります。
さて、TezukaOsamu@Bookですが、このサイトでは手塚治虫の作品を全て提供していきます。皆さんがあまりご存知でいない作品こそ紹介していきたいと考えています。マンガはもちろんですが、小説、絵本なども電子書籍化しご覧頂けるようにします。 現在はパソコンでしか利用できませんが、近い将来にはいろいろな形でご利用いただけるように考えています。例えば外出先で、現在開発されている持ち運び可能な電子書籍専用端末でマンガが読めます。自宅や職場でインターネットからマンガデータをダウンロードするのはもちろんですが、出先で自動販売機から缶ジュースを購入するように、コンビニエンスストアや駅に設置さているキオスク端末から好きな作品をダウンロードすることもできるようになると思います。 |
―――スパイダーが操作!?しているTANKが放つカプセル状のものは何ですか? |
木渕:このイメージこそ手塚治虫だったら・・・です。生き物はその大部分が水分で成り立っています。マンガなどのコンテンツにも生命感があるのではないかと考えました。その生命感あふれるものをビンに詰めて届けようとしている訳です。カプセルに詰められる液体状メディアが発明される日も遠くないかもしれません楽しみです。
今でこそこのような説明ができますが、最初の打ち合わせで私が発していた言葉は「なんか水なんですよリキッドとかゲル感・・・、」 一同沈黙。 (笑) 絵が描けない私のイメージをちゃんと絵にしてくれる奥平イラさんには毎々感謝です。 |
―――最後に、今後の目標などありましたら? |
木渕:手塚治虫が現代に生き、創作活動をしていたのであれば、きっと新しいメディアであるインターネットならではの作品を連載するようなことがあったのではないかと思います。世界へ向けて発信される作品が、マンガのようなものであったかも知れませんし、アニメーションであったかも知れません。今となっては夢のような望みであります。
手塚治虫のマンガとしての新作は困難ではありますが、アニメーション製作を始め、インターネットでも新しい作品を作り続けたいと考えています。 手塚治虫ならどう考えただろう? 先生だったら何を描いたのだろう?・・・を問い続けながら。 手塚治虫が切り開いたであろう道を、今私たちが切り開かねばならないと考えています。 ボチボチ、頑張ります。 |
―――最後は大阪人らしい締めくくりをありがとうございました。 |