DVD発売記念・『メトロポリス』トークショーレポート |
12月7日は、手塚ファンが待ちに待った、映画『メトロポリス』のDVD発売日(ビデオレンタルも同時スタート)。この日、発売記念イベントとして、監督・りんたろう、音楽・本多俊之の両名によるトークショーが初台・手塚治虫ワールドエンターテイメントスクエア内のハム&ランプカフェにて行なわれました。
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★まずは作品への最初の取り組みについて… |
りん |
「手塚治虫の死後も、手塚アニメが量産されているが、僕としても『アトム』以前のアニメ化されていない作品をきちんとアニメにして、自分の中で手塚作品にケリをつけておきたかったんです。なぜ初期作品かというと、それらの作品には作家が表現を研ぎ澄ましていく中で失ってしまう衝動や情念のようなものがあるからです。
そこで、僕は『アトム』が好きなので、初期SF三部作の中から『メトロポリス』を選ぶ事になりました」 |
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本多 |
「最初にジャズの注文が来た時はおどろきました。ジャズにはエネルギーがあるので、映像にあてて失敗するとえらいことになるからです。しかし、ずっとジャズに合う映像と出会いたいとは思っていました。そして監督からお話を聞いて、『これはカッコイイ』と。してやったり、という感じですね」
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★そして監督が音楽好き、という話題からトークの中心は音楽に。 |
本多 |
「監督は本当に音楽に詳しくて、映画の中でも音楽を使う所と使わない所が絶妙。
普通は『このシーンの音楽はどうします』と言うと、『あのシーンで使った曲を』という感じで使いまわす事が多いんですが、今回は音楽を入れる場所が明確に決まっていたので、画面のイメージを見てのめりこんでやれました」
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りん |
「ハリウッド映画なんかでは音楽が全編にベッタリ入っているような作品がありますが、それではいけないと思うんです。『メトロポリス』で特にすごいのは、雪のシーンで、キャラクターの芝居のテンションと音楽がシンクロしているんですよ。そういう所もぜひ見て欲しいです。外国の雑誌の取材なんかでも、音楽が良かったと言われる事が多いですね」
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本多 |
「監督は打ち合わせの時『このシーンではこうなって…』って、すごい勢いで話すんです(笑)。だから、『メトロポリス』はお話を聞いた時点でのめりこんでしまって、最初に打ち合わせした帰りの車の中でテーマ曲が浮かんだんですよ。感情移入ができない作品の時はなかなかメロディーが出てこないんですが、今回はメロディー作りの苦労は無かったです」
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りん |
「だから、シンクロするかしないかなんですよ。心が通わない人とはいくら言葉を交わしても、ダメなものはダメ。絵コンテを描く時も音楽と同じで、自分の中で形になっていない時、頭のどこかで本多さんの音楽の事を考えてますから。上手く歯車がかみあった時に物創りというのは面白い形になるんです」
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