虫ん坊 2010年1月号 トップ投稿特集1特集2オススメデゴンス!コラム編集後記

オススメデゴンス!:2010年1月号「勇者ダン」

 あけましておめでとうございます! 今年は寅年! ということで、オススメデゴンスにも、トラのダンくんにご登場いただくことにしました。

 このダン、性格は結構「男だぜ」という感じですが、見かけがかわいいー! 目が大きくて、ふさふさしていて、思わず触りたくなるかわいさです。

 年男…いやいや干支男のダンが気になった方はぜひ、『勇者ダン』を読んでみてね!

 

(手塚治虫 講談社刊 手塚治虫漫画全集『勇者ダン』あとがき より)

  ぼくには動物を主人公にした物語がやたらにあります。「ジャングル大帝」のライオンをはじめ、犬、猫、ネズミ、兎、狐、象、イルカ、鳥、魚、虫にいたるまで。トラはこの「勇者ダン」と「タイガーランド」。それにテレビの「プルルくん」。
  トラは陸上の猛獣ではいちばん強いのだそうです。インドにはかつてライオンが群棲していたのが、トラのために絶滅においやられたのだという説があります。トラは大好きですが、あの絵をかくのがやっかいなために、漫画、ことにアニメでは、あまり登場はしておりません。
  「勇者ダン」はまた、アイヌを主人公にした物語です。ぼくはアイヌをきわめてロマンチックに北方の果敢勇壮な民族としてあこがれていたのです。しかし、あとで悲惨な歴史と現状を知り、深く反省をしました。だけどコロポックルをはじめとして、アイヌの神話や伝承は大好きです。
  「勇者ダン」は、「白いパイロット」に続いて、「少年サンデー」に載ったのですが、最初から読者の反響が悪く、しかも締め切りが遅れっぱなしで、ついにこの作品のあと、しばらく干されるハメになりました。
  ぼくは、何度も仕事のうえで好調のときとドン底のときとをくり返していますが、「勇者ダン」の頃はやはり全体に低調で、自分でも方向を模索していた時期です。その原因は、やはりラジカルな劇画の台頭のためでしょう。


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オススメデゴンス!:2010年1月号「勇者ダン」
勇者ダン (手塚治虫漫画全集 (29))


読みどころ:

オススメデゴンス!:2010年1月号「勇者ダン」

「勇者ダン」は、「週刊少年サンデー」の昭和37年7月15日号から12月23日号まで連載された作品です。両親と生き別れたアイヌの少年・コタンと、動物園に送られる途中、列車事故によりオリから解き放たれたトラ・ダンがコンビを組み、隠されたアイヌの財宝を探して冒険する物語です。


  この作品はやはり"トラ"でしょう。「ジャングル大帝」のレオを例にあげるまでもなく、動物、そして猛獣の描写を得意とする手塚治虫ですが、「勇者ダン」におけるトラのキャラクター・ダンの力強さとボリューム感は、シンプルな線で描かれているとは思えないほど"トラ"のそれであり、体毛の柔らかさまで感じ取れます。ビデオもない当時のこと、当然資料も少なかったかと推測されますが、ここまでいきいきとした描写がどうやってできたのか、不思議です(作品冒頭でオリから放たれたダンの躍動感!)。





オススメデゴンス!:2010年1月号「勇者ダン」


オススメデゴンス!:2010年1月号「勇者ダン」


  ストーリーの方は、悪の組織との財宝争奪戦がメインで、当時の少年漫画としては良く使われたパターンです。作品後半、財宝の隠し場所を発見したあたりからは、後のヒット作「三つ目がとおる」めいてくるのも興味深いところ。


 設定については、コタンにトラ柄の帽子とマフラーを着けさせたり、ムチを持たせたりと、受ける要素をもりこもうとあがいた後もありますが、煮詰めきれていない感があるのは、やはり「模索していた時期」の作品という事なのでしょう。


オススメデゴンス!:2010年1月号「勇者ダン」


初めて読む人も、再読の人も、手塚治虫の作品年譜を片手に読んでみると、新しい発見があるかも…?







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