

火の鳥 生命編
解説:
『火の鳥 生命編』は、「マンガ少年」昭和55年8月号~12月号に掲載されました。読みどころ:






また、物語の途中から孤児の娘・ジュネが登場し、青居とともに野性の中で生活する事になりますが、そのジュネ個人の運命に収束されていくラストシーンの味わいは、壮大なスケールの「火の鳥」というより、むしろ「ブラック・ジャック」のような秀作短編に似ているといえるでしょう。





ブラック・ジャック 〜ブラック・クイーン〜
解説:
初出は「週刊少年チャンピオン」 1975年1月13日号に掲載されました。読みどころ:


女医の桑田このみは、手術でためらいなく患者の体を切りきざむことから、悪名高いブラック・ジャックにたとえて「ブラック・クイーン」と呼ばれていました。
ある日、恋人とケンカしてヤケ酒を飲んでいたこのみは、酒場で偶然ブラック・ジャックに出会いました。そしてブラック・ジャックは、少し言葉を交わしただけの彼女が、なぜか心に焼き付いてしまったのです。




はたして、ブラック・ジャックの恋のゆくえは? そして彼がクイーンへ贈った最大のクリスマス・プレゼントとは?
クリスマスイブを舞台に、ブラック・ジャックの粋な計らいが心にしみる、ちょっと大人のラブストーリーです。





鉄腕アトム ホットドッグ兵団
解説:
「鉄腕アトム ホットドッグ兵団の巻」は、月刊誌『少年』昭和36年3月号から10月号にかけて掲載されました。読みどころ:











38度線上の怪物
解説:
(手塚治虫 講談社刊 手塚治虫漫画全集『38度線上の怪物』あとがき より抜粋)「38度線上の怪物」は、したがって骨組みは「吸血魔団」ですが、全編これ楽屋おちばかりで、読者のためにかなり説明をする必要があります。まず、主人公の少年は、当時少年画報社の社員でぼくの担当だった M という人で、性格も顔もまったく M 氏なのです。ただ、ラーメン屋でねぎをわきへのけてラーメンをすするというのは、やはり同社の F という編集者のねぎぎらいのくせをくっつけたのです。少年を見舞いにくる三人は、もちろん馬場、福井、高野の三漫画家で、この三人やその他の人々が M のことで語りあうシーンは、当時、ヒットして話題になっていた黒沢明さんの「生きる」からのうけうりです。少年が肺病なのに泳ぐシーンの前で、バックの応援席からしきりに、「タンカ タンカ タンカ トイ トイ」と、こうるさいセリフがとんでいるのは、 M 氏が今井正さんの映画「ひめゆりの塔」が大好きで、その中の「あさどやユンタ」のメロディーを、しじゅう口ずさんでいたのをひやかしたのです。こんな身内の楽屋おち的ギャグなんか、当時どころか今だって、読者にとってはいい迷惑です。
(後略)


読みどころ:


解説で手塚治虫自身が語っているようなリメイクの問題や、楽屋オチや数々のもじりより、この作品の発表後に世に出た映画「ミクロの決死圏」にアイディアを拝借されてしまった、ということのほうが、本作にとっての不幸といえるかもしれません。
しかし、このお話の根幹となっているアイディア——小さくなって身近な世界を探検する、というシチュエーションが、どうして何度もフィクションの世界で繰り返し扱われ、子供の心を捉えるのでしょうか。物語の組み立て方も非常にしゃれていて、ある少年が 38 度の熱を出して倒れたのに、奇妙な夢を見た挙句にある朝ぽっかり目を覚ますと、すっかり熱が下がっていて、喜んで外に遊び出た少年に突如現れた 2 人組が声をかけ…という導入の仕方や、前半で少年の様子を描いたシーンと、その後につづくヒゲオヤジとケン一の体験したエピソードが見事に表と裏の関係になっているところなどは、短編作品としてきっちりと整えられている感があります。




映画「ミクロの決死圏」のみならず、いまや様々なフィクション作品で取り扱われる「体が小さくなって、ミクロの世界を大冒険する」というアイディアですが、繰り返し扱われるということはそれほどに人気があり、魅力に富んでいる、ということの証明ともいえるでしょう。なぜか子供の心を捉えて離さない“ミクロの大冒険”アイディアの「源泉」ともいえる本作をぜひ読んでください。





メトロポリス
解説:
(手塚治虫 講談社刊 手塚治虫漫画全集『メトロポリス』あとがき より抜粋)(前略)
「メトロポリス」が出ると、おかげさまで予想以上の反響を呼びました。かなりの再版をしたと思います。また、これを読んで漫画家を志した学生たちも多かったときいていますし、SFというエンターティンメントをこどもたちに認識させることにかなり役立ったものと自負しています。
これと、「ロストワールド」「来るべき世界」の三作を、ぼくの読者は初期のSF三部作と名づけてくれていますが、いちばん都会的な匂いを感じるのは「メトロポリス」で、ぼくの当時のアメリカ指向があらわれています。表紙のレッド公の立ち姿や、見返しページの大都会の夜景などに、戦前のよき時代のマンハッタンやシカゴのたたずまいを連想させ、当時のアメリカの都会映画の影響を感じとれるのです。
(後略)
読みどころ:




















