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記念館企画展

  • 1996/01/01〜1996/04/30
    ブラック・ジャック展

  • (1996/01/01)

  •  手塚治虫の代表作「ブラック・ジャック」は1973年に手塚の作家生活30周年の記念作品として雑誌 『週刊少年チャンピオン』に連載が始まりました。連載は1978年まで続き、タイトル数は240話を越えました。 連載終了後も「ブラック・ジャック」は単行本として現在までに2千万部を越える読者を得ています。
     手塚は連載当時を振り返って次のように述べております。・・・・ 「私の漫画家生活30年を記念してのブラック・ジャックを連載した頃は、公害問題やベトナム戦争があり悲惨な時代でした。 そういう時代だったからこそ私は、この作品を通じて生命の大切さを訴えたかったのです。」
     この言葉は、現在にもそっくり当てはまります。冷戦終結後も世界各地で民族紛争は勃発し、 戦争は冷戦期よりむしろ増加しております。 また、環境に目を移せば世界的なオゾン層の破壊、森林が減少し砂漠が広がり、 医学界ではAIDS問題等、世界はますます悲惨さを増してきているのではないでしょうか。 こういう時代において医者は何の役にたっているのか、また一体何のためにあるのかブラック・ジャックは悩んでいます。 人類全体としては破滅への方向に向かっているように思えるのに、医者個人としては、 目の前で一人苦しむ患者を救わなければならないという矛盾に悩んでいるのです。 現代社会が持つ病巣、その原因が人間にあることを知ったうえで、 ブラック・ジャックは一つの生命である人間個人には純粋にかかわっていきます。 持てる能力全てを出し切って救おうとするのです。 その結果、救った人物が核爆弾のボタンを押してしまうかもしれないという可能性があったとしても、 今、病で苦しんでいる一つの生命は捨てておけない。そんな矛盾に悩み、悩みを持つ自分を正当化するために、 国家からのライセンスは拒否し、治療の報酬に莫大な金額を請求するのです。
     人間としての真摯な気持ちと、得体の知れない大きな矛盾に対して悩み、 孤軍奮闘するブラック・ジャックの姿に、多くの読者はアトムやレオのように理想を主張するヒーローとは違う、 現代のヒーローの姿を見ているのではないでしょうか。 連載終了から17年もの歳月がながれ、いまだに読み継がれている理由は、 現在私たちの抱える問題を、ブラック・ジャックが悩み苦しんでいる姿に、現代人が自分の姿を投影しているからではないでしょうか。
     本展では、まずエントランスに、どこにあるのか誰も知らないブラック・ジャックの家をミニチュアにて展示します。 そしてブラック・ジャックの家を通り過ぎると、展示空間にはブラック・ジャックの部屋が再現されます。 また、原稿展示やピノコパネル、カラーパネルなどが展示され、 多角的な視点から作品「ブラック・ジャック」の魅力を堪能することができます。



    A.ブラック・ジャックの思想哲学
    B.ブラック・ジャックの部屋
    C.キャラクター"ブラック・ジャック"の魅力
    D.ブラック・ジャックと"ピノコ"
    E.ブラック・ジャック"報酬ランキング"



    A.ブラック・ジャックの思想哲学

     ブラック・ジャックの行動哲学は一見、金によっているように見えます。ブラック・ジャックはこう言います。「ほかの分野ならいざしらず・・・患者のいのちをかけて手術する医者がじゅうぶんな金をもらってなぜ悪いんだ」と。ブラック・ジャックは本当に金のためだけに行動するのでしょうか。またブラック・ジャックはこうも言います。「それでもわたしは人を治すんだ。自分が生きるために」と。このようにブラック・ジャックが叫ぶ短い言葉には生命にかかわるものへの、そしてそれに対する報酬の金額に関するものが数多くあります。本展では作品中でブラック・ジャックが叫ぶ短い言葉から、彼の考えが読みとれる名言集をハーモニー構成のパネルで展示し、ブラック・ジャックの行動原理を探ります。また240タイトル以上の作品の中から、手塚プロダクション資料室長が選ぶベスト5の話を手塚直筆原稿で展示。「ブラック・ジャック」のストーリーから彼の思想哲学を垣間見ることとします。






    <展示原稿&解説>

    ふたりの黒い医者 『週刊少年チャンピオン』
    1975年1月16日号掲載


     僕が描きたかったのは医学上の知識や手術の方法なんかじゃなくて、医者というものは何も人間の命をひき伸ばすのが仕事じゃない。その患者に、あと残された命、限られた時間をどう有効に使ってもらうかっていうことが大事なんじゃないか・・・(奈良県立医大学園祭 講演より)
     手塚がブラック・ジャックの抱えているテーマのひとつ"延命策"を突出してあつかったこのエピソード。もう一人の黒い医者"死神の化身"のアダ名をもつ"キリコ"の初登場エピソードでもある。


    おばあちゃん 『週刊少年チャンピオン』
    1975年9月8日号掲載


     本作品中でブラック・ジャックの母親に対する愛情はかなり深いものとして描かれている。別のエピソードでも自分の母親を邪魔者としてあつかい、結果的に大ケガをさせてしまった息子にブラック・ジャックは言う、「わたしなら母親の値段は百億円つけたって安いもんだがね」これは母親の命に対して関心のない息子に対する怒りのあらわれなのであろう。

    落としもの 『週刊少年チャンピオン』
    1976年11月22日号掲載


     天才的な外科手術で難病を次々と治療し、その報酬として時に何千、何億という法外な治療費を請求するブラック・ジャック。このエピソードでの請求額は3千万円。しがないサラリーマンにとっては家も家財道具も全て売り払ってできた金額である。ただここでブラック・ジャックが提示した金額は、高度な技術を要する手術の対価ではなく、生きたい、生かしたいという患者、家族などの切実な気持ちを計るブラック・ジャックなりのモノサシなのであろう。

    コマドリと少年 『週刊少年チャンピオン』
    1977年1月10日号掲載


     動物の恩がえしというのは昔話にも伝えられているように、ほんのささいな気づかいの後やってくる。このエピソードに登場する少年とコマドリの関係もそんな中で生まれる。ただ手塚はこのエピソードをとおしてコマドリの恩がえしだけを描こうとしたわけではなく、少年を想うコマドリの切実な気持ちは人間も鳥も、地球上に宿る全ての生命にとって変わりのないものだということを描こうとしている。

    六等星 『週刊少年チャンピオン』
    1977年8月29日号掲載


     手塚は本作品中で人間の持つ欲望を描くことが多い。その欲望の中でもっとも手塚が大きく取り上げているのが、病院内の医者や患者、それらを取り巻く人々の地位、名誉欲などである。このエピソードにもそんな欲望にかられた医者2人とそれに反比例する医者、椎竹先生が登場する。椎竹先生は欲のない人間でいつも周りからけむたがられているがあるきっかけで人間としての真価がみとめられる。理想の医者とは何かという手塚の問いかけでもある。
     



    B.ブラックジャックの部屋

     ブラック・ジャックは一体どこに住んでいたのでしょう。様々な想像ができますが、本展ではブラック・ジャックの家と部屋を、原作から忠実に再現します。また、ブラック・ジャックがいつも身につけているマントや、持ち歩いている鞄の中身を実物展示し、初歩的な医療器具についての名称と用途も紹介します。





    ブラック・ジャックのコート

    春夏秋冬、四季を問わずブラック・ジャックが着用しているコートは、暴漢から自分を守るための防弾着であり、メスなどの医療器具をしまっておくカバンがわりでもある。


    メス operation knife

    メスは切開する用途によって数種類あります。ブラック・ジャックが使用しているメスは手造りの物です。昔は研いで何度も使用しましたが、今は使い捨てのものが使用されています。


    鉗子(かんし) forceps

    主に先端ではさみ、血を止めることに使用します(止血鉗子)。展示されている大きな物は手術中に布を止めておく布鉗子といいます。鉗子は使用箇所によって大小様々なものがあります。


    縫合針(ほうごうばり) needle

    患部の縫合をするための針。針のおしりに孔があいていて、そこに糸を通します。手術の際、持針器で持って使用します。



    その他、鑷子(せっし)や剪刀(せんとう)など、合計13種類を展示



    C.キャラクター"ブラック・ジャック"の魅力

     つぎはぎだらけの皮膚、黒いマントに身を包み、黒い鞄、鋭いメスを常に持ち歩くブラック・ジャック。こんな人物が現実の世界に登場すれば人々は決して魅力的とは思わないでしょう。むしろ恐怖感を抱くかも知れません。しかし、手塚の描くブラック・ジャックはヒーローとして人々の心に染み込んでいます。
     本コーナーでは、連載240タイトルの扉絵に登場したブラック・ジャックカラー原稿を25点のパネルで展示し、キャラクター"ブラック・ジャック"の魅力を堪能するコーナーとします。







    D.ブラック・ジャックと"ピノコ"

     作品「ブラック・ジャック」を盛り上げる大いなる脇役として人々から愛されているピノコ。実は彼女はある人物の腹の中に18年間も閉じ込められていた畸形嚢腫でした。ブラック・ジャックの手により、この世に生を受けます。以後彼女はブラック・ジャックの良き妻、良き助手、良き子供の役を演じ作品「ブラック・ジャック」に花をそえるとともに、ストーリーを盛り上げます。
     本展では、ハンデキャップにめげずに、精いっぱい自分なりにブラック・ジャックに尽くすピノコについて、ピノコの性格、行動、表情等がよく表現されているコマからピノコの魅力を探ることとします。









    E.ブラック・ジャック"報酬ランキング"

     ブラック・ジャックは天才的な手術によって多くの人を助けます。そして莫大な金額を請求をするのですが、その最高金額は幾らだったのでしょうか。また反対に最低金額は幾らだったのでしょうか。  本展では大人から子供まで企画展を楽しんでもらうため、ブラック・ジャックが過去に受け取った報酬のランキングを発表します。最高、最低、無報酬の有無、金以外の報酬など果たしてブラック・ジャックが金の亡者かどうか、来館者はこのコーナーで知ることができます。


    <高額報酬ランキング>

    第一位  第 73話 こっぱみじん(1975/ 5/19)
    15,000,000,000-


    ― わたしだって大統領といっしょに命をねらわれるんですよ。わたしの命を大統領に売るんです ―

    要求金額は断然トップの百五十億円。これは大統領の財産の四分の三にあたる額である。これをスイス銀行を通しキャッシュで、と伝えている。最終的に大統領は自分の息子に手榴弾を投げ付けられ死亡。ブラック・ジャックはその遺体を使用して戦争で負傷した子ども達に手術を施した。文字通り大統領はこっぱみじんになったのである。

    第二位  第134話 あるスターの死(1976/ 8/16)
    1,670,000,000-


    五百万ドル(当時$1=334.00)を携えて映画女優がやってきた。全財産にかえてでも、銀幕に返り咲くために三十年前の若さを取り戻したいという。ブラック・ジャックは金の問題ではない、として拒否するが、彼女の執念に負け、手術を実施。ところが彼女は撮影現場に向かう途中で交通事故に遭い、死亡してしまった。ブラック・ジャックは今回は要求金額を提示していない。逆に彼女の五百万ドルにかける女優の執念が表れており、堂々の二位にランキングである。

    第三位  U−18は知っていた(1976/ 3/10)
    1,051,770,000-


    ― 三百万ドル(当時$1=334.00)…びた一文まけないぜ。日本円にしてタッタ十億円ですよ。 …治らなきゃ九百人の患者はダメだ。治ったらそれだけもらう値打ちがあるでしょう ―

    これとは別に、移動に要した経費(約十五〜六万ドル)も請求している。今回の相手は人間ではなく、医療センターの制御コンピューターであったが、ブラック・ジャックは一人の患者として誠意をもって治療し、無事手術(修理?)を終えた。

    第四位  短指症(1983/ 1/21)
    800,000,000-


    「謝礼は三百万ドル(当時$1=267.00)まで出す」という大牧場主が息子の手術を依頼。ただ、息子は過去に数回、世界的名医の手術を受けているが失敗した前歴を持っている。謝礼は大きいが、失敗して死なせでもしたらこっちが殺されかねない。しかし、ブラック・ジャックは手術を成功させた。と同時に、その子を実の息子ではないと思い込んでいた牧場主に対し、身体的特徴と遺伝を根拠に本当の息子であることを証明した。

    第五位  第192話 命を生ける(1977/11/28)
    300,000,000-


    ― ここに三億円あります。これでたりなければまたお払いします。…娘のためなら十億でもおしくない ―

    生花の家元が難病の娘の手術を依頼。先の短い命をなんとか延ばして家元を譲ってやりたい、その一日の栄光のために大金を積んだ。ブラック・ジャックは、栄光のためでなく、彼女が"長生きできる"ように手術をした。この'親の欲'が支払った金額が日本人最高額で、同時に第五位にランクされる金額である。
    <低額報酬ランキング>

    第一位  第203話 がめつい同士(1978/ 2/20) 30-

    ― あんなもの 金をもらうほどの仕事じゃない ―

    借金を苦に心中を図った一家の応急処置を救急車のなかで行い、一家はかろうじて一命を取りとめた。その処置費の請求に対してブラック・ジャックは、はじめ五十円と言ったが、相手が驚いたので三十円にまけた。それどころか彼は、請求に来た労災病院の外科部長に、その一家が再度心中を考えないように渡して欲しい、と借金の全額を彼に預けた。

    第二位  第200話 すりかえ(1978/ 1/23+30) 100-

    ― そうですなあ。三年前のことだしまあ百円ぐらいいただきましょうか ―

    難産の末産んだ自分の子が、重病で一年位しか生きられない、と知った母親はある夜ひそかに他人の子とすりかえてしまった。三年後、それをネタに看護婦から脅迫され、提訴された。ブラック・ジャックは証人として出廷し、出産後子どもの手術をしたこと、その証拠に子どものおなかにキズがあることを挙げて、彼女の実の子であることを証明した。

    第三位  第162話 気が弱いシラノ(1977/ 3/ 7) 1000-

    ― 千円じゃ安いだろう ―

    想いを寄せている女性が憧れている相手と同じ顔にして欲しい、とある男が依頼してきた。ブラック・ジャックはその変身料は五千万円だ、と答えた。と同時に千円コースもあると伝え、そのコースで手術を行った。実は、あとで後悔するだろうと思い、手術はせず、顔に包帯を巻いただけだった。つまり、顔をすっぽり覆った包帯代として千円だった。

    第三位  第120話 悲鳴(1976/ 4/26) 1000-

    ― 五十万円といいたいところだが千円にまけてやろう ―

    恩師である山田野先生の孫が連れてきた患者だったので、ブラック・ジャックは千円で手術してやった。その患者は声帯ポリープで、術後声を出さなければ二〜三週間で完治したはずだったのだが、大声で笑ったために悪化してしまった。ブラック・ジャックは一年間絶対に声を出すなと脅し、彼女もその約束を守ったので、元の声に戻ることができた。

    第五位  第196話 腫瘍狩り(1978/ 1/ 1) 1500-

    最新医療器械の機能欠陥をもみ消して、外科医長としての名誉・プライドを傷つけたくない。そのためにその器械で治療していた患者を急遽手術に切り替えた。しかし、それが難手術なため、かわりに執刀して欲しい、と依頼してきた彼に対し、ブラック・ジャックは一喝。その器械の不完全性をはっきり世間に公表する、という条件をのめば千五百円で手術してやる、と言った。外科医長はその条件を受け入れ、世間に自らのミスを公表した。
    <"無報酬"リスト>

    第 87話 満月病(1975/ 8/25)

    ― 手術をしてあげよう!もちろんタダでね ―

    恩師・本間丈太郎の娘を治療。面識のない娘に対し、ブラック・ジャック自身からタダで手術をしてあげよう、ともちかけている。命を助けてもらい、医者になるきっかけを与えてもらった恩師へ、ブラック・ジャックは深い恩義を感じており、それは住職の次のセリフからもよくわかる"先生にご恩を返すためにはなんでもするといわっしゃる"

    第105話 雪の訪問者(1976/ 1/ 5)

    ― わたしが手術するとはいってない。あくまで助手だ。手術料はいりませんよ ―

    大病院のえらい先生に診てもらっている患者の姉が、ブラック・ジャックにその先生のかわりに執刀して欲しい、と依頼。あの先生は病気だ、と彼女は言うが、実は妻の最期を診てやれなかったことを後悔し、悩んでいただけであった。ブラック・ジャックはこの患者の手術に、助手として立ち合い、この先生の悩みを払拭し、手術も無事成功させた。

    第152話 約束(1976/12/20)

    ― 助けられなかった患者は手術料はいらんそうです ―

    手配中の逃走犯が難民キャンプ内での手術を依頼。医療器具がろくにないので、応急処置的手術を施し、居場所が落ち着いたら再手術をすると約束して別れた。一年後彼が連絡してきた場所はパリ警察内だった。彼は一年以内に確実に死刑とわかっていながら手術の続きを依頼してきたのだ。ブラック・ジャックは手術を成功させたが、彼はその後死刑となった。

    第164話 勘当息子(1977/ 3/21)

      母親をめぐる息子達の話。母親の還暦の誕生日に三人の兄は帰ってこず、勘当された四男だけが帰ってきた。この四男は母親の持病を治したいために医者を志していた。早くに母親をなくし、母親を想う気持ちか強いブラック・ジャックにとって、この光景はどのように感じられただろうか。自ら手術着に着替えながら彼はこう言っている。 "なにしろわたしがタダで手術するのはめったにないことなんだ"

    第201話 助けあい(1978/ 2/ 5)

    ― 約束どおりあなたを助けにきましたぜ ―

    外国で殺人容疑をかけられたブラック・ジャックのアリバイを証言し、無実を証明してくれた日本人商社マンへ対する恩返しの話。帰国後、国内で彼が瀕死の重傷を負ったことをテレビで知ったブラック・ジャックは、あらゆる手段を利用して入院先の病院へ駆けつけ、約束通り手術をして彼を助けた。ブラック・ジャックは受けた恩義は必ず返す、という義理堅い一面を持ち合わせていた。
    <"おかしな報酬"リスト >

    第 76話 水頭症(1975/ 6/ 9) 
    「"一生かかって払う"との手術代借用書」


    水頭症の少年がブラック・ジャックに手術をやって欲しい、と直訴。ものまねが上手な彼は将来芸人を目指しており、一生かかっても手術代を払うから、と言って借用書まで作成していた。彼のものまねにまんまとだまされ病院に誘い出されて来たブラック・ジャックは、はじめそのつもりはなかったのだが、彼の態度を見て「その約束守るな?」と言って、手術の執刀を引き受けた。少年の信頼がブラック・ジャックの心を動かしたのだった。

    第 86話 絵が死んでいる!(1975/ 8/18) 
    「描きあげた絵」


    ― かきあげた絵をもっていってくれっ!
    それを…七千万円で売ればいいんです! ―

    南の島で核実験の放射能をまともに浴びた画家が、その惨劇の様子を絵に描いて残したいため、その間だけ生き延びさせてくれ、と依頼。その手術料を七千万円と請求したブラック・ジャックに対し、画家はその絵を七千万円で売ればいい、と言って交渉は成立。結局彼は一年半程しか生きれなかったが、描き残した絵にはその惨状がすさまじく表れていた。

    第110話 デカの心臓(1976/ 2/16) 「ニシキゴイ」

    ― じゃあ手術代のかわりに えんりょなくニシキゴイはいただいて行くよ ―

    巨人症の異常児、「出可」は心臓への負担が大きいので、決して無理な力は出さず、将来は養鯉業者を目指していた。ある夜、彼のイケスに車がはまり、彼はコイを救うために車を押し上げようとするが、車と石のあいだに両足を挟まれ負傷。その手術をブラック・ジャックが担当し、手術代のかわりに彼が大切に育てていたニシキゴイをもらった。

    第111話 タイムアウト(1976/ 2/23) 「かざぐるま」

    過積載のトラックから鋼材が崩れ落ち、子どもが下敷きになった。トラックの持ち主である建設会社がいくらでも金を出す、と言ったのを聞いたブラック・ジャックは、私がやってみようと名乗り出た。そして見事子どもを救出した。一方、建設会社側は責任転嫁をし、金を払おうとはしなかった。子どもの様子を見に行った時、その子が差し出したかざぐるまを受け取って彼は言った。"いただいておこう 五千万円のかわりだ"

    第167話 春一番(1977/ 4/11) 「一カ月間の飲み代無料」

    ―先生、治療代ぐらいは払わせておくんなさいよ。いくらなんでもひと月間だけタダで飲ませろってのはじょうだんでしょ―

    ある少女に白斑症治療のため、角膜移植手術を行った。その手術料のかわりに、ブラック・ジャックは彼女の父親がやっている飲み屋で一ヶ月間タダで飲ませてくれ、と言った。一方、少女に移植された角膜はアイバンクから提供されたものだったが、その主は殺害された女性で、角膜に犯人が焼き付いていた。

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