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記念館企画展

  • 1996/09/05〜1996/12/20
    手塚治虫個展・色彩の世界
    −ジャングル大帝・鉄腕アトムからルードウィヒ・Bまで−

  • (1996/09/05)

  •  手塚治虫はその生涯において500タイトル以上の作品を創作しました。その原稿枚数はおよそ15万枚にも及びます。 現在それらの作品は、ほとんどが単行本として出版されおり、これにより私たちは手塚漫画のストーリーを知ることができます。 この15万枚に及ぶ原稿は、当然ながら月刊誌や週刊誌等で長く連載された結果として生まれたものたちです。
     実は連載時の手塚漫画と単行本になった時とでは、ほんの少し発表スタイルに違いがあります。 連載時には作品の冒頭に必ず「扉絵」という表紙絵がついていました。 しかしこの扉絵はストーリーの連続性が重視される単行本ではカットされてしまい、 私たちは連載時をのがしてしまうと、再びその扉絵を見る機会はなくなってしまいます。 扉絵は1枚でその連載の世界観を表わしているものが多く、その意味では画家が創造によって完成させていく絵画に比べ、 連載の内容によって絵の傾向が決まってきます。つまり、作品の内容を反映した1枚画が、扉絵なのです。 したがってとても完成度の高い絵であることが多いのです。
     今回の企画展はこの扉絵に注目しました。しかし、扉絵といっても、 手塚の場合は500タイトルの作品に連載回数を乗じた分の枚数(約8、000枚)があり、 これらを全てを観るためには膨大なスペースを要します。また、手塚は子ども漫画は勿論のこと、 大人を対象にしたものから絵本まで、多くの分野の絵を描きました。 したがって、単に時系列で展示構成をしていくと様々な分野の絵が混ざってしまい混乱してしまいます。
     そこで今回は、特に完成度の高い扉絵の中から連載時に着色され、冒頭などで使われたものを中心に厳選しました。 100万人の入館者数を得て、記念すべき10回目の企画展という意味もこめ、「手塚治虫個展・色彩の世界」を開催いたします。 カラーの扉絵を中心に1枚で表現されたイラスト画や絵本の原稿から、 手塚のストーリー漫画家としての側面だけでなく、画家としての才能も多くの人に鑑賞して頂きたく思います。



    カテゴリ1 海へ、空へ、大地へ 冒険とロマン
    カテゴリ2 城、天使、花、夢と少女
    カテゴリ3 愛、憎悪、輪廻、生命の神秘
    カテゴリ4 調和、リズム、ハーモニー、童話


    カテゴリ1 海へ、空へ、大地へ 冒険とロマン

    手塚は「新寶島」でプロ漫画家としてデビューしました。
    初期の赤本でのタイトルも、「メトロポリス」「来るべき世界」「ロストワールド」などに代表されるように、冒険やロマンをテーマにしたものが数多くあります。残念ながら赤本での色彩画は「怪盗黄金バット」のみの展示になりますが、このテーマを代表する連載漫画には「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」から「キャプテンKen」「三つ目がとおる」などがあり、彼らの活躍する舞台は海、空(宇宙)、大地など広範囲に及びます。

    理想をかかげ、未知の世界を冒険するキャラクターたちの世界を第1のカテゴリーとします。

    主な展示作品:鉄腕アトム、ジャングル大帝、どろろ、0マン、W3(ワンダースリー)キャプテンKen、三つ目がとおる、等


    手塚が生涯残した、膨大な数にのぼる扉絵をはじめとした色彩豊かな『絵画』の中でも、その真骨頂とも言えるものが、ここで紹介する『冒険とロマン』の色彩世界でしょう。ストーリー漫画として、物語を象徴するかのように置かれた青色や、人間や自然に対して自愛に満ち溢れた緑色、挑発するかのような赤色。印刷物として完成する事を前提とした様々な制約の内で手塚は『色彩の冒険』を行っています。時代の流れの中で、映画や演劇、絵画的手法を巧みに取り入れながら、先駆者として独自の世界を完成させていきます。そして、その強烈な色彩は40年以上の長きに渡り、少年少女を魅了し、夢や希望のメッセージを送り続けているのです。















    カテゴリ2 城、天使、花、夢と少女

    手塚は少女漫画の世界でもストーリーマンガを確立しました。
    手塚以前の少女漫画は、美術や建築のアール・デコ運動から影響を受けて発達してきました。中原淳一など装飾絵画に文章がつけられたものが少女の読み物の主流となっていた中、手塚はこの装飾絵画の伝統を漫画の中に取り込み、扉絵でアール・デコを取り込んだ1枚画を多く描いています。それらの多くは城や天使、花などをデザインのモチーフとして使用しています。

    主な展示作品: リボンの騎士、虹のとりで、エンゼルの丘、ユニコ、等


    手塚の少女漫画における色彩世界は、バレエやレビュウなどに継承されている舞台美術の伝統的様式美に裏打ちされ、完成した世界であると言えるでしょう。画面に置かれた色彩は、定型の内でそれぞれが役割を演じ、言葉やモチーフが伝えるよりも雄弁にその場の状況や、光と影・心象風景までをも伝えます。また、手塚は卓越した構図色彩を施す事で、従来の舞台美術手法では表現の難しい視点の移動や、より高度な奥行感、立体感、そして時間の流れまでをも的確に表現しています。手塚が幼い日に憧れた『宝塚歌劇』へのオマージュとして手塚が描く少女漫画は、より魅力的に、美しく、見る者の心を虚構の夢世界へ誘います。










    カテゴリ3 愛、憎悪、輪廻、生命の神秘

    手塚のストーリー漫画には重要なテーマのひとつとして「生命」があります。これは人間に限らず、生きとし生けるもの全て〜大宇宙までを対象とし〜ある時は人間の他の生命に対する傲慢さにホイッスルを鳴らし、ある時はかげろうの生命の中に大宇宙を展開しました。重要なテーマだけに作品数も多く主人公も多岐にわたります。彼らは自分の抱える愛や憎しみを通して存在の問題を考え、人間はどこから来てどこへ行くのかという有史以来の哲学的テーマに迫ってゆきます。そのためか、このカテゴリーに属する色彩画は、重量感に溢れ、大胆な構図の物が多くなっています。

    主な展示作品: ブラック・ジャック、火の鳥、ブッダ、アポロの歌、等


    誰しも記憶の中に、鮮烈に印象に残るシーンがあるはずです。それは、子どもの頃に見た夕陽だったり、絵画や映画のワンシーンかも知れません。そういった記憶は必ず、印象的な色の記憶として心に残っていきます。そして、その色彩は時の流れの中で無意識に、より強烈で、象徴的な色彩に変化を遂げ、実際体験したものとは違う独自の映像として記憶されていくのです。手塚のストーリー漫画のテーマの一つである『生命』の色彩世界で、人間の生命や、感情の象徴として色彩をとらえています。そして、色彩をより際立たせるために計算された大胆な構図との相乗効果で、そのシーンは人の記憶に鮮烈に刻み込まれるのです。ここで紹介しました扉絵の印象で、本来モノクロームである本編を全て、カラーで記憶している読者もいらっしゃるのではないでしょうか。









    カテゴリ4 調和、リズム、ハーモニー、童話

    漫画家、アニメーション作家としての活動以外にも手塚は多くの仕事をしました。作家は勿論のこと、博覧会のプロデューサー、マスコットキャラクターの制作などがその代表ですが、絵本作家としても手塚は多くの作品を残しております。手塚は美しい色彩とリズミカルな表現で子どもの夢を端的に表わせば、子どもは物語の世界に没入し、押し付けでない教育と生活への潤いと喜びを与えると考えておりました。したがって第4カテゴリーでは1枚の色彩画と洗練された文章の組み合わせにより、リズムが生まれ、ハーモニーと調和してゆく過程をご覧下さい。

    主な展示作品: びいこちゃん、らびちゃん、くろちょろのぼうけん、等


    手塚が『冒険とロマン』の世界で完成させた緊張感溢れる絵とは、少し手法の異なる色彩世界があります。ここで紹介します童話や寓話は、様々な絵画的実験を展開し続けた手塚の作品の中でも特に手塚の人柄が垣間見る事ができます。童話として描かれた絵の色彩や構図は、そのストーリーと共に全編にあふれる程のリリシズムに貫かれています。風刺画的挿絵では、社会的な鋭い視点と、人間に向けられた洞察は、内面をえぐり取るかのような色彩で表現されています。漫画家というより、むしろ、手塚は普遍的な立場から、自己を表現し、絵画という手段で問題提起を行う、アーティストであったという事もこれらの作品群は伝えてくれます。












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