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虫ん坊 2017年5月号 オススメデゴンス!:『刑事もどき』

はじめに:

 ある日、手塚プロダクション公式サイト「マンガwiki」内のアクセスランキングで、突如『刑事もどき』が上位に食い込んできました。
いつもは『鉄腕アトム』や『ブラック・ジャック』などの有名どころがズラリと並ぶアクセスランキングなだけに、それはなんとも異様な光景でありました。
 原因を調べてみたところ、どうやらTwitterで『刑事もどき』関連のツイートがものすごい勢いで拡散されていたようで、作品が気になった方々がマンガwikiにアクセスしてくれたようなのです。

 ということで、ネットの熱が冷めないうちに(?)今月は『刑事もどき』をご紹介デゴンス!

解説:

 (手塚治虫 講談社刊 手塚治虫漫画全集『ショート・アラベスク』 あとがきより)
(前略)
「刑事もどき」、これはシリーズ化するつもりが都合で二回で終わってしまったものですが、主人公の刑事は、当時「ガラスの城の記録」にも出していたこともあって売り出そうと思ったのです。しかし、この当時は虫プロ商事が財政ピンチに襲われ、組合との折衝でエネルギーを使い果たしてろくな作品もできず、結局、主人公もそのまま消えてしまいました。
(後略)


マンガwiki作品紹介:

キャラクターなど詳しい情報はこちらから



読みどころ:

「刑事もどき」は「コミック&コミック」に掲載された作品です。「エムレット」は昭和48年10月3日号、「鹿の角」が昭和49年1月23日号にそれぞれ掲載されています。
 解説にもあるとおり、「刑事もどき」主演の段袋刑事は、いわば不遇のスターです。「ガラスの城の記録」では本日休業というヘンテコな名前で、女性の苦手なとぼけた刑事役を演じ、殺伐としたシリアスドラマを適度に和ませてくれていました。少々見かけは地味ですが、場を和ませる独特の雰囲気には味があり、決して大根役者ではありません。作者兼プロデューサーの手塚治虫が多忙過ぎ、そのために売り出し時期を逃してしまった、悲劇の手塚スターなのです。
 この「刑事もどき」はそんな段袋刑事の主演作品です。「エムレット」も「鹿の角」も殺人事件をあつかったミステリーもので、すこし大人向けとなっています。初主演作品としては“颯爽とした登場”とはいえないまでもまずまずで、謎ときとしても読ませる内容となっています。

虫ん坊 2017年4月号 オススメデゴンス!:『鉄腕アトム』 コバルトの巻


 詐欺事件の犯人の護送中に、連絡船が遭難にあってしまうところから物語りは始まります。手錠で繋がっているからと仕方なく段袋はペテン師・大枚田助五郎を助け、大枚田はそんな段袋を命の恩人だと感謝しながらも所持していたピストルで詐欺事件の罪を水に流すようにと脅します。 そこから、段袋刑事と大枚田助五郎の共同生活がスタートします。

虫ん坊 2017年5月号 オススメデゴンス!:『刑事もどき』

 ミステリーといえばやはり名探偵ですが、当然探偵役となってしかるべき段袋刑事は少々その方向では心もとなく、どちらかと言えばその助手の元サギ師・大枚田助五郎が謎ときを担当します。この助五郎、なかば押しかけで段袋刑事の助手に納まった男で、頭も切れ、コックやテーラー、あんま師とあらゆる職業の素養があるくせに「一番身についたのはサギ師」と言ってはばからないひねくれ者。

虫ん坊 2017年5月号 オススメデゴンス!:『刑事もどき』

 人が良く、竹を割ったような至ってまっすぐかつシンプルな性格の段袋刑事との対照が面白く、名コンビと言えますが、男二人で同居生活はちょっとむさくるしい。もっとシリーズが続いて、この先、ヒロインの登場も望めたのかも知れないと思うと、スターとして不遇だったことも併せて、段袋刑事にはちょっと同情してしまいます。


注目の一コマ:

虫ん坊 2017年5月号 オススメデゴンス!:『刑事もどき』


 事件解決後、祝盃の途中で強精剤を飲み段袋にアタックする大枚田。
 出会った当初から段袋に惚れていると幾度となく口にしていましたが、それは本心なのか、それともなにか裏がありそれを隠すためのペテンなのか、読者も疑心暗鬼させてしまうというところに大枚田助五郎という男のキャラクター性を感じます。
 もしシリーズが続いていたら、彼らの関係はどうなっていたのか……それは想像にお任せします。


作中の名セリフ:

虫ん坊 2017年5月号 オススメデゴンス!:『刑事もどき』

  「女のあつかいはクールでなきゃいけねェ!」


 料理、マッサージ、さらには浮気防止(?)に段袋刑事愛用のスーツに香水をふりかけたりと、まさに夫を支える妻の如く段袋に尽くす大枚田。さらには身の回りのお世話に留まらず、事件解決の手助けまでもなんなくこなしてしまいます。
 事情聴取の際には、容疑者の愛人である女性には画像のとおりかなりクールに当たっており……やはり、大枚田の恋愛対象は男性なのでしょうか? 考えれば考えるほど、ペテンにかかってしまいそうです。




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