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虫ん坊 2014年7月号 特集1:手塚治虫文化賞「そばに寄り添える漫画を描けたら」 新しい時代に向けての物語

虫ん坊 2014年7月号 特集1:手塚治虫文化賞「そばに寄り添える漫画を描けたら」 新しい時代に向けての物語

贈呈式会場の様子。

5月30日、第18回手塚治虫文化賞の贈呈式が、東京・築地の浜離宮朝日ホールにて行われました。

今回の受賞作品・受賞者は以下のとおりです。

マンガ大賞:
 『3月のライオン』(白泉社) 羽海野チカさん

新生賞:
 今日マチ子さん 『アノネ、』(秋田書店)『みつあみの神様』(集英社)などで重いテーマを独自のみずみずしい世界に昇華させたことに対して

短編賞:
 施川ユウキさん 『鬱ごはん』『オンノジ』(秋田書店)『バーナード嬢曰く。』(一迅社)に対して

特別賞:
 『まんが道』(中央公論新社など)『愛…しりそめし頃に…』(小学館) 藤子不二雄Aさん

特別企画 読者賞:
 『宇宙兄弟』 小山宙哉さん

虫ん坊では、毎年恒例、贈呈式での受賞者のみなさまのコメントをレポートします!


 関連情報:

朝日新聞社 手塚治虫文化賞



★主催者より★

 はじめに、主催者の挨拶として、朝日新聞社専務取締役 東京本社代表 飯田真也さんより、お祝いとご挨拶がありました。


虫ん坊 2014年7月号 特集1:手塚治虫文化賞「そばに寄り添える漫画を描けたら」 新しい時代に向けての物語

朝日新聞社専務取締役 東京本社代表 飯田真也さん

 大賞を受賞された、羽海野チカさんの『3月のライオン』は、主人公の高校生プロ棋士・桐山零が、先輩棋士や、和菓子屋の3姉妹とのふれあいを通じて成長してゆく物語です。
 羽海野さんは、朝日新聞主催の名人戦にも何度か取材に足を運ばれておりますが、個性豊かな棋士たちがしのぎを削る対局の様子は、息が詰まるような迫力で、作品の読みどころの一つです。きめ細やかな心理描写に加え、いじめなどの問題に踏み込むなど、奥行きがある骨太の人間ドラマで、まさにマンガ大賞の受賞にふさわしい力作です。
 新生賞の今日マチ子さんは、昨年『みつあみの神様』『U』『アノネ、』『mina-mo-no-gram』の4作を発表されました。中でも、東日本大震災の後の世界を彷彿とさせる『みつあみの神様』と、ヒトラーのホロコーストを示唆する『アノネ、』は、かわいらしい絵柄でさらりと描いたようでありながら、重たいテーマを鮮烈な物語に昇華されており、読者を作品世界にどんどん引き込んでくれます。今後、今日さんがどのようなテーマを選び、どんな表現をしていくのか、楽しみでもあります。
 短編賞の施川ユウキさんは、『鬱ごはん』『オンノジ』『バーナード嬢曰く。』の3作品で、それぞれ異なった題材を独特の視点で切り取り、短編マンガの多様な可能性を示されました。特に、『オンノジ』では、少女とフラミンゴ二人きりの終末世界を描きながら、4コマのギャグマンがでありながら、最後は愛と希望の物語に昇華させる手腕はお見事です。これからも、短編マンガに新風を吹かせてくださることを期待しております。
 また、特別賞は、藤子不二雄Aさんの『まんが道』『愛…しりそめし頃に…』にお送りいたします。藤子不二雄Aさん、藤子・F・不二雄さんのお二人と、その周辺を囲む漫画家たちの青春群像に胸が熱くなる作品です。昨年完結した『愛…しりそめし頃に…』は実に44年間描き続けられたそうで、創作活動への情熱に敬服をいたします。


虫ん坊 2014年7月号 特集1:手塚治虫文化賞「そばに寄り添える漫画を描けたら」 新しい時代に向けての物語

当日会場には、これまでに作られた手塚治虫文化賞ピンバッジが展示されていました。来場者に配られるものです。

 さて、今回の特別企画として、朝日新聞デジタルに投票いただいた読者賞には、小山宙哉さんの『宇宙兄弟』が選ばれました。兄弟で宇宙飛行士をめざし、数々の困難に立ち向かう登場人物たちが共感を呼ぶのでしょう、若い世代からの支持はもちろん、男女を問わない幅広い年代から票が集まりました。
 今の時代に夢を持つことの大切さが伝わってきており、大変勇気付けられる作品でした。

 いずれも、生きることへの肯定感あふれるすばらしい作品が選ばれ、主催者としても大変うれしく思っております。


★来賓より★

 次に、来賓を代表して、手塚眞が祝辞を述べました。


虫ん坊 2014年7月号 特集1:手塚治虫文化賞「そばに寄り添える漫画を描けたら」 新しい時代に向けての物語

来賓を代表して、手塚眞が祝辞を述べました。

 受賞作は、それぞれ大変個性的な作品が並び、現代の日本の漫画の多様性を物語ってくださっております。通読して感じましたのは、それぞれの作品は、異なった方向性ながら、いずれも新しい時代を目指す姿を丁寧に描いた作品だと感じました。東日本大震災後、3年がたち、私たち日本人は新しい時代に向かっていかなければならない岐路に立っておりますが、そういう時代を反映したような作品群だったのではないでしょうか。
 羽海野チカさんの『3月のライオン』は、将棋会という確立された世界に、青春物語というさわやかな物語を持たせたことで、日本の伝統的な将棋の世界に新しい味わいを加えた、とても軽やかな作品だと感じております。
 すでにたくさんの作品を描かれている今日マチ子さんに、新生賞、というのも失礼なのかも知れませんが、非常に様々な要素を持った、新しい手法で描かれております。かわいらしい絵柄で、一見さらりと読めてしまう画面の裏には、人間の感情の裏側のどろりとした部分をさりげなく描かれているところには、舌を巻く思いです。やはり何か新しい世界を感じさせる、思春期の心の揺らぎをそのまま昇華させたような鮮烈さを伴った作品だったと思います。
 短編賞の施川ユウキさんもまた、ポップな絵柄の中に大変に深い洞察を描かれています。また、知識を漫画の中に取り込んでいらっしゃって、これまで知ったような気分でいたところを改めて見直したくなるような短編を作られています。非常に面白い作品だと思います。
 特別賞の藤子不二雄A先生は、いまさら特別賞、というようなこともまた失礼かと思いますし、もっと早くに先生には賞をとっていただきたかった、と思っております。先生は今年ちょうど80というお歳になられ、その節目のところで連載も終わり、この賞の受賞のはこびとなったことは、なにか良いタイミングだったのではないか、と思っております。マンガという新しい時代にであった若者が、社会の中でどう成長していくのか、ということを大変丁寧に描かれています。自伝的作品ではありますが、非常に客観的な視点も描かれており、私たちが「昭和」という時代を思い返すのにも非常にふさわしい大作だと感じております。
 そして、本年特別に作られました読者賞をおとりになりました小山宙哉先生の『宇宙兄弟』は、宇宙というわれわれに残されたフロンティアと、若者の成長物語を掛け合わせて、非常にさわやかに新しい時代を感じさせる作品になっています。
 すべての受賞作が、何か、新しい時代の到来を感じさせてくださり、また、これが今の日本の漫画の力なんだ、と感じさせてくれました。
 今年は、手塚治虫が亡くなってちょうど25周年、四半世紀がたちました。この間に、日本の漫画を取り巻く状況はずいぶん変わりました。25年前、父が亡くなった時には漫画はまだまだサブカルチャーで、当時から徐々に評論や研究が進んでいたとはいえ、いまほどに市民権を得ていたわけではありませんでした。いまや、漫画は現代日本のメインストリームの文化として扱われております。国や地方行政も漫画を応援するなど、マンガの地位はあがってきております。文字通り漫画に心血を注ぎ、命を削ってきた手塚治虫の望んでいた姿なのではないか、と思います。受賞者のみなさまも、どうか、今回の受賞をささやかな励みにしていただいた、これからもますます、日本の漫画を新しい次元に引っ張っていただき、いっそうにすばらしい文化に育てていただければと思っております。


★選考委員 選評★

 今年は、マンガ研究者のヤマダトモコさんからの選評がありました。


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選考委員・ヤマダトモコさん

 まず、大賞の『3月のライオン』の選考経過をご報告します。
 漫画を読むことはとても楽しいことではありますが、賞を決めるとなると、毎年すばらしい作品があまたひしめく中で、一つの作品に決める、というのはとても思い悩むことでもあります。
 今年の大賞選定にあたっては、これまでの手塚治虫文化賞の受賞作品を振り返り、やはり、いまここに並んでいてほしい作品を選びました。10年後に賞を改めて見直したときに、今年の作品として並んでいるべき作品はやはり、『3月のライオン』だ、と考えました。それで、今年も本作に高得点を入れさせていただきました。
 『3月のライオン』と、いがらしみきお先生の作品には、連続しての推薦がありました。選考委員のなかからは、すでに2度までも同じ選考委員で評価した作品を候補に上げることを問うご意見もありました。3回目、同じ作品が候補に選ばれた喜びよりも、もし、またもやだめだったら、という想像をすると、悲しみが先にたってしまう、という、受賞を待ち望む立場の方への思いやりのあるご意見を、ブルボン小林さんにいただきました。
 羽海野先生に関しては、結果的に大賞に選ばせていただくことが出来ましたが、賞を選ぶことの重みと責任とを再確認いたしました。
 漫画家のお立場で、この件について永井先生からは、「僕は、賞をいただくことにはあまり縁がなくて、あげるばかりなんだけど、もし、自分だったら、応援してくれる人がいるんだな、とうれしいんじゃないかな」とおっしゃっていただき、また、武宮恵子先生も永井先生のご意見に同意され、場が和むシーンもありました。また、あさのあつこ先生が、「今回は血の流れない作品に賞をあげたい。私が選考委員をしている間の、『3月のライオン』を賞に選びたい」とおっしゃっていたのが、印象に残っています。
 新生賞は、今日マチ子さんが昨年発表された作品の質の高さと、量の多さが評価の対象となりました。今日さんは、昨年、評価対象になった作品を描かれており、どの作品も新鮮かつ質の高い作品で、まさに新生賞にふさわしい作品だと考えております。選考委員の中では、震災以降の世界を髣髴とさせる『みつあみの神様』への評価がことに高かったように記憶しております。
 短編賞では、いろいろな作品が候補に挙がっていましたが、最終的には施川ユウキ先生に決まりました。恥ずかしながら、私は施川先生のお名前を昨年まで存じ上げませんで、新しく出会った才能でした。去年刊行され、今年の受賞作となった3作品はどれも本当に面白くて、出会えた喜びを感じることができました。
 特別賞は、賞与される年と、されない年があります。この賞は、選考委員の意見を参考に、朝日新聞社が実施を決める賞だからです。今年は、満場の一致で藤子不二雄A先生に決まりました。個人的には、私は富山県高岡の出身で、A先生とF先生が通われた定塚小学校を卒業しているので、A先生に賞をお贈りすることが出来ることしの選考委員を勤められたことが本当にうれしいです。
 最後に、選考経過報告からは外れますが、読者賞の小山宙哉先生の「宇宙兄弟」は本当に楽しく読ませていただいております。読者の皆様からの熱い支持があっての受賞となりました。ほんとうにおめでとうございます。


★受賞者コメント★

●マンガ大賞 『3月のライオン』(白泉社) 羽海野チカさん

 手塚治虫の大ファンとしても知られる羽海野チカさん。子どもの頃に出会ったという『リボンの騎士』についての思い出も織り交ぜたスピーチを披露されました。


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マンガ大賞の羽海野チカさん『3月のライオン』の紹介パネル。

 今日、この場に立たせていただいたことがとてもうれしいです。

 私が初めて自分で買った漫画が、手塚治虫先生の『リボンの騎士』でした。まだ、家の近くに本屋さんがなくて、小学校のそばの駄菓子屋さんで買いました。
 描かれてあるドレスも、動物たちも、本当にかわいくて、家中の紙という紙に、――カレンダーの裏とか、広告の裏とか、白い紙があったら手当たり次第に、――まねをしてたくさん、絵を描きました。そして、今日まで来ました。
 そんな、手塚先生のお名前のついた賞をいただくことができ、とてもうれしいです。
 小さい頃は、どうしても人の輪にはいっていけない子どもだったのですが、漫画はいつも、私のそばにいてくれました。今度は、私がそんな子どもたちのそばに寄り添える漫画を描けたらと思います。これからも一生懸命、描いていきたいと思います。


●新生賞 今日マチ子さん 『アノネ、』(秋田書店)『みつあみの神様』(集英社)

 今日マチ子さんのスピーチは、ご友人の俳優さんが受賞者の今日さんを「演じる」という、ご本人の作品にも似た、ちょっと変わった趣向で行われました。


虫ん坊 2014年7月号 特集1:手塚治虫文化賞「そばに寄り添える漫画を描けたら」 新しい時代に向けての物語

新生賞 今日マチ子さんの作品紹介パネル。

 こんにちは、今日マチ子です。

 中学に入学したときに、私たちの学年に与えられた聖書の言葉は、「あなたはどこにいるのか」でした。大学に入って初めての課題のテーマは、「スタンディング・ポイント」でした。

 今日マチ子という名前は、もちろん嘘の名前です。女優の京マチ子さんをもじったものです。戸籍上、そんな人物は存在せず、ことあるごとに私は「どこにいるのか」問われます。
 でも、そんなことは実際、大事なことなのでしょうか?

 私は、いま、このステージではなくて、客席に座って、贈呈式を眺めています。今話しているのは、私の描いたマンガ「mina-mo-no-gram」に登場して、今日マチ子を演じた、女優の青柳いづみさんです。彼女はまた、戦争を描いた「cocoon」を舞台化したときにも、主人公であるサンを演じました。

 私にとって、彼女の身体は私の一部でもあるような気がしています。

 今回、この青柳いづみの身体を、今日マチコと呼んでください、と朝日新聞社さんにお願いしたところ、嘘はいけない、とたしなめられました。嘘は、いけない。

 でも、わたしは嘘が好き。

 漫画をかくということは、あらゆる嘘を自在に渡り歩くことです。わたしがどこにもいない世界は、神様の目から逃れているような、自由な世界です。けれども、その嘘の中になにか「ほんとう」のことがないか、自分以外の誰かの心と、それは、死んでしまった異国の少女であったり、独裁者の少年であったりしますが、出会うような日はないのだろうか、と期待してしまっている私もいるのです。それができるのが漫画だと思っているのです。

 このたびは、栄誉ある賞をいただき、本当にありがとうございます。手塚治虫という、『虫』つきのペンネームが、ほんとうの名前を超えて現実に君臨しているように、私も嘘を堀り続けて、本当に届くことが出来るように、これからも描き続けていきたいと思います。


●短編賞 施川ユウキさん 『鬱ごはん』『オンノジ』(秋田書店)『バーナード嬢曰く。』(一迅社)


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短編賞 施川ユウキさんの作品紹介パネル。

 このたびは栄誉ある賞をいただき、本当にありがとうございます。いまだに現実感に乏しく、なにかの手違いでした、といわれるのではないか、とびくびくしています。
 受賞作3作の中で、とくに『バーナード嬢曰く。』『鬱ごはん』は、自分のだめな部分をひたすらこっけいに描いた漫画で、こんな評価をいただくのは、気恥ずかしいような、申し訳ないような、すごく不思議な気持ちです。『オンノジ』は、ちょうど震災直後に連載が始まりました。当時はあんな状況で、のんきに4コママンガなんて描いていていいのかな、と自分なりに思い悩みました。いろいろ考えた結果、ある日、突然変わってしまった世界を舞台に、この物語を始めることにしました。
『オンノジ』に登場する二人は、世界の終わりのような状況にありながら、毎日ふざけあったり、くだらないことを言い合ったり、日常を生きようとしています。とても勇敢な二人だと思います。子どもの頃好きだった、ブラック・ジャックとピノコのような名カップルになれたらいいな、とおこがましくも思いながら描きました。
 かつて『ブラック・ジャック』が載った『少年チャンピオン』に、若さに任せて、落書きのような漫画を投稿したのが16年前です。今でもほとんど変わらない、落書きみたいなものを描いています。
 しかし、たくさんの読者や、優秀な編集者、周りの人たちのおかげでこのような場所に立たせていただくことができました。今回、手塚先生の名前を冠した賞をいただけることは、漫画家人生の中でも最上の栄誉だと思います。


●特別賞 『まんが道』(中央公論新社など)『愛…しりそめし頃に…』(小学館) 藤子不二雄Aさん

 特別賞は、手塚治虫も登場する、自らを主人公にしたトキワ荘の漫画家たちの青春群像を描いた『まんが道』『愛…しりそめし頃に…』の藤子不二雄Aさん。『愛…しりそめし頃に』が昨年完結となったため、今回の受賞になりました。


虫ん坊 2014年7月号 特集1:手塚治虫文化賞「そばに寄り添える漫画を描けたら」 新しい時代に向けての物語

『まんが道』『愛…しりそめし頃に…』で特別賞を受賞された藤子不二雄Aさん。

 今思えば、もう70年近く前に、僕の田舎の高岡市にあった本屋に、僕の相棒だった藤子・F・不二雄氏と二人で行き、そこで手塚治虫氏の『新寶島』を発見しました。その頃、富山県は非常に教育熱心で、マンガなんか置いていなかったんですけど(会場笑い)、1冊だけ置いてあったんですね。それで僕らは二人で買って、公園で読み始めたのですが、まさに晴天の霹靂というか、こんな漫画があったのか、といって、二人とも大感激しました。それまでは、漫画は趣味で描いていたのですが、それから漫画を一生の仕事にしようと思って、マンガ道をまっしぐらに行きまして、生活のことなんか何も考えなかったのですけれども、現在に至りました。


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『まんが道』『愛…しりそめし頃に…』を紹介するパネル展示。

 僕は今年80になる大変な爺さんで、先ほどから、若い受賞者の方が次々登場し、こんな僕が名を連ねていいのか、と思ったのですが、おそらく僕は、手塚治虫文化賞の受賞者の中でも最高年齢なんだと思いまして、そのことを自慢に思っております。
 80にもなったし、そろそろ仕事もリタイヤして、田舎暮らしでもしようかな、と思っていたのですが、こういう賞もいただいたので、もうちょっと、がんばってみようかな、と思っています。どうぞよろしくおねがいいたします。


●読者賞 『宇宙兄弟』 小山宙哉さん

 読者賞に選ばれた小山宙哉さん。読者の代表の方が花束を贈りました。


虫ん坊 2014年7月号 特集1:手塚治虫文化賞「そばに寄り添える漫画を描けたら」 新しい時代に向けての物語

読者より花束を贈られた小山宙哉さん。

 僕は、『ブラック・ジャック』が大好きで、『ブラック・ジャック』の深さを知って、漫画の深さを知ることで、漫画家になれたと思っているので、この場に立てたことをうれしく思います。
 『宇宙兄弟』はもう単行本も23巻となり、長く続いている作品ですが、改めて読者の皆様に評価していただいて、選んでいただけたことをありがたく、うれしく思っています。


虫ん坊 2014年7月号 特集1:手塚治虫文化賞「そばに寄り添える漫画を描けたら」 新しい時代に向けての物語

『宇宙兄弟』を紹介するパネル展示。

 実は今、『宇宙兄弟』は、アニメ化の脚本や絵コンテの作業のため一時休載しており、僕としても一番つらい時期です。漫画が描けないというのがこんなにつらい、というのは、実は初めてではなく、2度目なのですが、デビュー前にサッカーの試合で右手首を骨折して、しばらく漫画が描けなかったことがあって、つらかったのですが、そのとき、不思議なことに、完治した後で絵を描いてみたら、骨折前より絵がうまくなっていたんですね(会場笑い)。こんなこともあるのか! と思いまして。 ですから、いま描けない時期も、何か、新たな力が肉付けされているのではないか、と信じて、また読者の皆さんの期待を裏切らないような漫画を、どんどん描いていこう、と思っています。



虫ん坊 2014年7月号 特集1:手塚治虫文化賞「そばに寄り添える漫画を描けたら」 新しい時代に向けての物語

『まんが道』の時代を語る藤子不二雄Aさんと、聞き手の永井豪さん。

 授賞式の後には、記念イベントとして、特別賞受賞記念対談 藤子不二雄Aさん×永井豪さん、マンガ大賞記念対談 羽海野チカさん×ヤマザキマリさん が行われました。


 対談の模様は、朝日新聞のWEBサイト「dot.」に掲載中です。
http://dot.asahi.com/ent/culture/2014053000097.html






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