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虫ん坊 2013年8月号 特集1:東京都現代美術館 特別展『手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから』 大特集!

アトム&島村ジョー(009)
(C)手塚プロダクション  (C)石森プロ

 現在、東京都現代美術館では、特別展『手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから』が開催中です!
 手塚治虫・石ノ森章太郎が生涯残した作品を改めて時代とともに振り返るコンセプトのこの展覧会、マンガ本文の原稿展示や、アニメーションの映像などもたくさん見られる、大人も子どもも楽しめる夏休みにぴったりの展覧会です!
 今月の虫ん坊では、この展覧会を大特集! 貴重な(?)建込みの様子のから見どころまで、たっぷりとご紹介します!!




関連情報:

特別展「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」 開催!

東京都現代美術館

◆プレゼント◆

読者の皆様から抽選で、本展覧会のご招待チケットをプレゼントします!
チケットは販売などでは手に入らないレアなもの! もちろん、入場後もお持ち帰りいただけます。ふるってご応募ください!

東京都現代美術館 特別展『手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから』 ご招待チケット
10組20名様

【応募方法】
 tezukaosamu-net-guide@tezuka.co.jp 宛に、1、お名前 2、ご住所 3、御電話番号 をご記入の上、メールにてご応募下さい。

【応募締め切り】
2013年8月11日(日)
※ 当選通知は発送を持って変えさせて頂きます。



●まずは、コンセプト、見どころなど

 この展覧会の見どころやコンセプトなどを、総合プロデューサーであるNHKプロモーションの鈴木俊二さんに伺いました。


――まずは、ズバリ見どころをお聞かせ下さい。

鈴木俊二さん(以下鈴木): 展示は全部で4章に分かれていて、それぞれ見どころがあります。
 初めの0章、1章の展示の目玉は、なんといっても最近新発見された原稿の実物展示です。まずは手塚治虫が学生時代に描いたと言われる『噫 それなのに』。手塚治虫にしては実はとてもシニカルな内容で、実物をじっくり見られるのは今回がもちろん初めてです。他にも、『メトロポリス』の未使用扉絵や、『浮漂島』原稿などが展示されています。
 石ノ森章太郎関連では、マンガ同人誌『墨汁一滴』の展示が見どころです。以前も展示されたことがあるものですが、今回は10 冊を展示しています。当時のマンガ家志望者の実力者たちのネットワークが、石ノ森章太郎を発信地として、どのように広がっていったのか、をうかがい知ることができます。
 あと、やっぱり目立つのはトキワ荘のレプリカですね。手塚先生・石ノ森先生それぞれのお部屋のレプリカはこれまでにもありましたが、こうして外装までを作りこんだのは今回が初めてじゃないでしょうか。門の前では記念撮影OKですので、ぜひ、写真も撮っていただけると嬉しいです。
 2章では、時代とともに両先生がどのような仕事をしてきたのかを焦点に、多数の代表作の原画を展示しました。熱心なファンの方で、すでにそれぞれの先生の展覧会でご覧になっている方もいらっしゃるかもしれませんが、両先生の作品を一挙に、多数見られるチャンスです。


――各章の入り口で、当時の様子がニュース映像で紹介されるのが印象的でした。

鈴木: 展示では前章を通じて、NHKの映像ライブラリから選んだ、当時の世相を表す映像も見られるようになっています。ニュース映像などの各時代の映像を見た上で、各作品を見ていただくと、世相と作品とのギャップやマッチングがいっそう面白く感じられると思います! 例えば、1章の展示で戦直後の大阪の様子を映した映像を流しているのですが、この頃の日本はとても貧しくて、浮浪児の姿なども出てくるんですよね。手塚先生の『新寶島』は1947年に刊行されていますから、まさにあの時代なのですが、いかに手塚作品が、ハイカラで、洒落ていたのか、当時の子供達がいかにびっくりしたか、ということが感覚として分かると思います。
そういう資料映像の他に、今回はテレビアニメーションのオープニング映像、最近手塚プロダクションで制作された『ガロン』の上映などを予定していまして、映像だけでも30本以上が展示されています。


――続く3章ではどういったところが見どころでしょうか?

鈴木: 3章では、マンガというものの中身にフォーカスしています。マンガに描かれたメッセージやテクニックといった、世界的にも評価の高い日本の漫画の奥深さとはどういう点なのか、というところを、手塚・石ノ森作品を軸に、改めて見なおしていきます。
 今の日本のマンガが持っているさまざまなストーリーやテクニックは、手塚治虫・石ノ森章太郎のそれぞれの作品の中にも見られるものです。それらの特長はたくさんのマンガ家たちが切磋琢磨していった挙句、今の形に練り上げられていったものなんですが、両先生の作品にはそのような日本のマンガの特長が顕著に表れています。
 さらに4章では、そうして両先生がたが作り上げたマンガ文化が、現在どうなっているかを紹介しています。ここはもう一目瞭然で、今の若い人たちが見ているものが、どういう文脈で手塚・石森とつながっているか、ということを改めて確認していただければ。


――海外作家の作品も飾ってありましたね。

鈴木: フィリピン、イタリア、フランス、スペインの各国から、4組のアーティストが作品を提供してくれました。皆さん、両先生をリスペクトされていて、熱意をもって参加してくださいました。いかに、両先生の作品が海外にも広がっているのか、の証明にもなりますよね。
 今や、マンガは一つの世界的なスタイルであり、ファッションになっているわけです。それを創り、広めていったのが手塚・石ノ森両先生で、それに追従し、引き継いだ日本のマンガ家たちがさらにその手法などを発展させ、ついには世界中に広めていったのだと思います。
 戦後、トキワ荘に住んでいた気鋭のマンガ家たちが、マンガを芸術として捉え、どんな表現にも果敢に挑戦し、マンガの存在感を強めようと一生懸命になって切磋琢磨してきましたよね。それが現在、まさに実現しているわけです。そういった現象がようやく起こり始めたのは、おそらく90年代から後だったのではないでしょうか。もちろん、手塚先生がご存命の時にも、『鉄腕アトム』を海外に持って行ったりして、世界的な広がりの萌芽は感じていらっしゃったと思いますが、実際に世界中に広がっていってそのピークを迎えたのは、1990〜2000年代だと思います。だから、僕は誰に一番この展覧会を見て欲しいか、といえば、やっぱり手塚・石ノ森両先生に見てもらいたいです!
 両先生がお若い頃に思い描いていた夢が、いままさに、実現していますよ、ということを第一にお二人にこそ感じていただきたいですね。

――ありがとうございました!


●6月某日、建込みの様子

 さて、取材に伺った6月某日は、ちょうど建込みの真っ最中! 手塚プロダクションの本展覧会担当プロデューサー、鈴木美香のご案内で、建込みの様子をご紹介します!
 ★じるしがついている写真が、完成写真。完成の写真と合わせて、ご覧ください!




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エントランス! まだいろいろな資材が転がっています… 「これから追い込みです!」


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こちらは第0章の建込み風景。ガラスケースにはもちろん、『新寶島』の他、『噫、それなのに』『浮漂島』など、最初期の手塚治虫の新発見原稿が飾られる予定。


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展示品の設置の順番は、「破損してはならない」ものが最後とのこと。モニターなどの釣り展示が少ない第1部では、すでに原稿が展示済み。壁に貼ってある展示設計図を元に、どんどん壁に貼っていきます。


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レーザーを出すのは、こんな機械です。一見「何かの展示物か!?」と思うほどSFな外見ですが、道具です。


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トキワ荘。約30%縮めたモデルで作っていますが、展示方法の関係上、縦横比が少しだけ変えてあります。


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玄関ライトもちゃんとつきます。当然、中の家具などもすべて新しく作られています。ところが本やライトなどの小道具は実物なのです。縦横比の違和感、写真ではほとんどわからないでしょ!?


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小道具はアンティークで集めたり、作成したり。「チューダー」再現のための宝焼酎の2合瓶は実は新しく作られたもの。ラベルなどはちゃんとタカラの監修済み。三ツ矢シャンパンサイダーの瓶はアンティーク。傾けてもこぼれないチューダーは、塩ビ製。食品サンプル業者による模型ですが、これを発注する際には、実際にレシピ通りに「チューダー」を作って写真に撮り、資料として送ったそうです。


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やかんは新品に古味をつけました。手塚先生・石ノ森先生が召し上がったチキンラーメンの模型再現のために登場。


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展示される原稿などは、綿密にチェックされます。これはコンディション・チェックという作業。一つ一つの展示品の隅々までをチェックして、シミや指の跡、やけ・やぶれなどを逐一チェックします。万が一展示品がいたんだり、破損したりした場合に、「もとからあった破損」か、「展示によってついた破損」かを明確にするための作業です。巡回展も数件予定しているなか、原稿の取り扱いには細心の注意が必要です。


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ひろーいこの空間は、展覧会関連商品がずらりと並ぶショップになります。 いまは打ち合わせスペースに活用されています。人の縮尺を見ると広さが分かります。



●開催前日! 記者会見のもよう

展覧会の前日には、記者会見も開かれました。


■東京都現代美術館 チーフキュレーター 長谷川祐子さん

 東京都現代美術館は開館以来、マンガ・デザイン・アニメーション・建築などの従来のアートの範疇に収まらないもの、特にサブカルチャーを美術館の重要な現代アートとみなし、2008年夏に開催したスタジオジブリ・レイアウト展などの展覧会を続けてまいりました。今年はNHKプロモーション、手塚プロダクション、石森プロのご協力のもと展覧会を企画し、今日お披露目となりました。
 この「マンガのちから」という展覧会は、まさにマンガの創立者と言うべきマンガの神様である手塚治虫さん、その手塚さんに導かれてマンガの世界にお入りになったマンガの王様・石ノ森章太郎さんという、マンガの基礎を築いたお二人をテーマとしました。マンガは、第2次世界大戦直後、様々な形で低迷していた日本と、その子どもたちに新しい物語、新しいエンターテイメント、希望を与え、非常に大きな社会的・文化的な影響力をもっていました。何年も前から構想していた本展覧会ですが、偶然にも2011年の3.11後の、いろいろな意味で低迷している日本を活気づける素晴らしいタイミングとしてお目見えすることができました。
 例えばトキワ荘のマケット(模型)では、トキワ荘の中の生活をリアルに再現しています。そこでは、いかに戦後の物のない生活の中でマンガを志した人々が集い、はげましあいながら自分たちの夢を描いていったか、お二人の先生がお書きになったその時々の社会的な情勢・文化的な情勢を反映したマンガの原画とともにそういう物語、お金とか生活の豊かさがなくても本当に夢があふれていた時代がこの展覧会の中で一つのドリームとして描かれています。
 特に興味深いのは、最後のセクションで展開される現代作家によるオマージュ作品です。二人のマンガ家から影響をうけた様々な分野のアーティスト、ミュージシャンなどが、コメントや作品を寄せています。この展覧会というのは、お二人の作品を一つの時間の流れの中で見ることによって、いかに非常に大きな影響力を持ち、そしてそこから新しいクリエイターたちが生まれてきたか、それを体感するマップとして見ていただくことができるのではないかと思います。
 本当に素晴らしい展覧会になっておりますのでぜひ多くの方にご鑑賞いただきたいと思います。


■手塚プロダクション 著作権事務局局長 清水義裕

 この展覧会をめぐっては2つの嬉しいことがありまして、まず一つには、手塚プロダクションと石森プロは、作家二人の付き合いの延長で会社として付き合っていく事が多かったのですが、二人を失った後、各プロダクションはこれからどうしていくべきか、というようなディスカッションを何年か前から高田馬場の飲み屋で始めるようになりまして、それがだんだんお互いの会社の現場の人間に伝わっていったことです。最近、われわれはコラボレーションという言葉を非常に好んで使っていますが、一プロダクションだけではなくて、多くの才能が集まってなにかひとつ新しいことをやるというコラボレーションの一つの姿として、この展覧会が開催できるということがまず非常に嬉しいことでございます。
 また、いまや日本のマンガ・アニメーションは、政府が率先して『クールジャパン戦略』などと言って推進しておりますが、5本のクールジャパンの柱の一つ、ファッション、食、音楽、伝統芸能、それにマンガ・アニメということで、日本文化の柱と数えられています。マンガは雑誌を含めてひと月に4500万部程度、例えば皆さんが買われている『週刊少年ジャンプ』の厚さで言いますと、1250kmの高さにもなり、なんと宇宙空間まで飛び出してしまいます。また、そのマンガを元に発展していったアニメーションもまた、世界に向けてどんどんキャラクターやストーリーを繰り出して、各国からクールという評価を受けています。その原点となる手塚治虫・石ノ森章太郎の二人の仕事を、コンパクトな形で一同に見られる機会をファンにご提供することができたことが、二つ目の嬉しいことです。
 展覧会開催にあたりNHKプロモーション、それから東京都現代美術館、石森プロに非常にご協力いただきましたことをこの場をかりてお礼を申し上げます。


■石森プロ 根林芳充さん

 先ほどの清水局長からもお話がありましたとおり、私たちは3年以上も前から、両プロダクションでいろいろな可能性を探って参りました。その一つがここまで実現に至ったことを心から感謝しております。
 その昔、中学生だった石ノ森先生が手塚治虫先生のマンガに非常に衝撃を受け、『漫画少年』に投稿を始めるようになったのが、石ノ森先生のデビューのきっかけでした。その投稿した作品をたまたま手塚先生がご覧になられて、高校生の石ノ森先生に、「テツダイタノム」という電報を打たれたというエピソードがあります。電報を受け取った石ノ森少年は中間テストの合間をぬって上京して手塚先生のアシスタントをした後、中間テストに合わせて帰っていったそうです。そのあとそのまま手塚先生の紹介もありデビューを果たすわけですが、3年前に手塚プロダクションにご相談にいかせていただいたわれわれと今回境遇が非常に似ているな、と、なにか運命的なものを感じています。
 企画が加速したのはたしか、皆様の記憶にも新しい3.11の震災の後だったと思うのですが、この展覧会の企画の会議でも、あの二人の先生がいらっしゃったら、この震災をどうとらえ、何をしただろうとみんなで議論をしましたが、正直なところ、いくら考えても分かりませんでした。そこで、二人がなにをマンガで成し遂げてきたかを一つ一つ洗い出して行きましょう、と、関係者全員で作品だけでなく文献、当時の方々の証言などを調べつくし、マンガで両先生がなにをしてきたかというのを一つ一つ勉強していったら自然に今回の展示ができていきました。
 その時にNHKプロモーションの担当の方に、マンガのちからってすごいですよね、マンガの持ってる力ってすごいですね、とおっしゃっていただきました。その言葉がそのまま、展覧会のネーミングにもなっています。
 今回の展覧会では、見ていただく皆様にもマンガの持っている力、マンガの本質ってこういうものなのかと、マンガの持っている無限の可能性を少しでも感じていただければ嬉しいです。




展覧会『手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから』展は、東京都現代美術館で9月8日(日)まで!  夏休みの間、ぜひご来場下さい!
その後、順次全国を巡回していきます。お楽しみに!

巡回情報:
 広島県立歴史博物館2013年11月15日(金)〜2014年1月5日(日)
 大阪歴史博物館2014年1月15日(水)〜3月10日(月)
 山梨県立博物館2014年3月21日(金・祝)〜5月19日(月)
 宮城県美術館2014年5月31日(土)〜7月27日(日)



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