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虫ん坊 2013年6月号 特集1:「Peeping Life(ピーピング・ライフ)手塚プロ・タツノコプロ ワンダーランド」発売記念!森りょういち監督インタビュー!

(C)手塚プロダクション/タツノコプロ/FOREST Hunting One/CoMix Wave Films

 脱力系スローライフアニメとして大人気の「Peeping Life」と手塚プロ・タツノコプロがコラボレーションしたDVD「Peeping Life 手塚プロ・タツノコプロ ワンダーランド」が2013年6月25日(火)に発売されます。ゆる〜い「日常」の中に飛び込んだアトムやブラック・ジャックたちの、今までとは違った顔に出会えること間違い無しのこの作品。さらにタツノコプロと手塚プロのキャラクターたちとの夢の競演も!今回はその「Peeping Life」の監督である、FOREST Hunting One代表、森りょういちさんにインタビューし、手塚作品とのコラボ秘話や森さんの作品創りについて色々聞いてきちゃいました!





関連情報:

Peeping Life第7弾DVD「手塚プロ・タツノコプロ ワンダーランド」発売決定!

Peeping Life(ピーピング・ライフ)

タツノコプロ



ドッキリですか?

監督、森りょういちさん

――今回の手塚作品とのコラボのきっかけは?

森りょういちさん(以下、森): タツノコプロさんと以前コラボしたのがきっかけで、それが好評だったので手塚さんとも、ということなんですが、こちらとしては本当に身に余る光栄というか、僕は未だにドッキリだと思ってるんですけどね。(笑)

――手塚作品については?

森: そりゃ知ってますよ!もう日本人なら誰でもDNAに刻み込まれているので。特にアニメーションの仕事をしている人間なので、それこそ、「鉄腕アトム」とか「ブラック・ジャック」なんかは、嫌でも脳裏の中にはしっかりと。(笑)

――原作マンガも読まれていたんですか?

森: もちろん興味もあるし、今回のために原作も読みましたが、僕が元々漫画をほとんど読む人間じゃないんですよ。で、アニメも観漁る方ではなくて、どちらかというと、研究対象として調べる、というタイプなので。アニメの制作をやってたり、作品の中で僕自身が「オタクくん」のキャラクターを演じてたりもするんですけど、その辺は実生活とはちょっと違いますね。

――では、ご自身の創作活動の研究として他の作品をみるというスタンスですか?

森: そうですね。特に手塚先生の作品は、国語で言ったら「古典」というか。本当に脈々たる、トラディショナルな、もう「手塚」という、ひとつの「分野」ですよね。ですから、僕の「Peeping Life」というのは、割と新しいとされている手法の、ものすごく砕いて言っちゃえば最新アニメ、かたや手塚さんっていうのは、元祖、というか、日本アニメの礎を築いた、いわば日本アニメのビッグバンなわけじゃないですか。そのスタート地点と、現在がコラボするというのは、これはすごいぞ!と。


森さんが演じているキャラクター「オタクくん」(「Peeping Life」より)

――今までに影響された作品は?

森: あんまりないんですよねぇ。こういう路線の作品を創ってるから、こういうのを観ようという時は楽しいんですけど「週末は必ず映画に行こう!」とかいうのは無いですし。それよりもどういう作品を創ってゆくかというのが楽しいというか。何かで感銘を受けたとしても、そこで得たものから自分が何を吐きだすか、何を創るんだ、ということの方が楽しいですね。
 本当に、2年くらい前まで、「仕事=趣味」という感じで。24時間365日アイデア探しで、切り替えるものが何も無かったんですよ。僕趣味も無くて。全くの無趣味で。休みだからサーフィンに行こう!みたいな発想全く無いですし。サーフィン行ったとしてもきっとネタ探ししてると思いますし。
 でもそれだと段々キツくなってくるんですよ。で、人間よくできてるもんで、ある時急に他のことに色々と興味が沸いてきて。楽しいなあ、やってみたいなあという感じになってきて。まあ大きな買い物をする時の理由づけなのかもしれませんが。写真に興味持ってカメラを買ったり、「いつか仕事に役立つ」と思って。実際何の役にも立たないんですけど。(笑)ロードバイクの自転車に興味持ったり。「通勤に使えるから」と思って。まあ使わないんですけど。(笑)


キャラクターは似ませんよ…

アトムが博士に文句を!?(「アトム グレる」編より)

――手塚プロ社内でも大好評の今回の企画は、逆に原作にイメージや思い入れが少ない、という方だからこそ出来た新しい試みだったかと思うんですが、作品を創る際、気を付けたことは?

森: 最初の時点で、お伝えしたことが、まず二点あります。
 一つは、「キャラクターは似ませんよ。」ということ。(笑)
 そしてもう一つは、「ストーリーや原作の雰囲気を壊してしまうかもしれませんがよろしいでしょうか?」という問いかけをしました。
 この二つに関しては、手塚プロさんから、「ぜひぜひ!」という有り難いお言葉を頂戴しましたので、だったらもう、フルスロットルでいくしかないな、と。そうでなければ逆に失礼になってしまうだろうと思いました。
 音響監督さんもよく言ってました。「よく許されたね、これ。ホントに大丈夫だったの?」と。(笑)

 やっぱり今の子たちにとっては、知ってはいるんだけども、馴染みという意味ではなかなか、今リアルタイムでアニメが放送しているわけではありませんし、だからそういう方々にも、原作の良さを知ってもらうと共に、まず、こういう作品があるんだよ、面白いんだよ、というのをアピールするきっかけになれば良いなと思いました。原作とはまったく違うんだけれども、まずそのアイコンが世の中に知れ渡れば、と。


今回森さんが演じているボヤッキー

――今回の10作品のエピソードの中で、一番のお気に入りの話はどれですか?

森: これはですねぇ、全部は全部なんですが……やはり、僕は、アトム(「アトム グレる」編)。あれは非常に思い入れが強いですね。

――「Peeping Life」でも、森さんが声を担当しているキャラクターがありましたが、今回の作品中でも森さんが演じられているキャラクターはあるんですか?

森: 一つだけ、ボヤッキーのキャラクターを僕がやってるんですよね。僕はモノマネ担当みたいなところがあって。(笑)「オタクくん」とかもそうなんですけど、「Peeping Life」の役者さんって、その人なりの言葉で喋るんですけど、僕は自分なりの言葉で喋っても何も面白くないので。キャラクターを憑依させるというか。それでボヤッキーができたのが唯一僕しかいなかったという。


絵コンテも脚本も無くても人との掛け合いでその場で面白いものが生み出せるんだな

「Peeping Life」-The Perfect Explosion-

――「Peeping Life」についてお聞きします。まずアイデアはいつ頃からあって、いつ頃から現実化し始めたんですか?

森: アイデア自体は大学4年の頃です。それまではちゃんとしたアニメ、というか、脚本があって、絵コンテ描いて、そんなギャグでもないし、シリアスな、人を感動させよう!みたいな作品ばかり作ってたんです。でもある時にちょっと今まで触れたことのないものを観てみようと思って、映像じゃない、かけ離れたものを観ようと思って、お芝居を観たんです。
 その時たまたま観たのが、イッセー尾形さんの一人芝居で。それを観てすごく感動して。舞台に一人しかいないのに、こんなに世界が広がって、こんなに面白いんだ!と思って。そうしたら、イッセー尾形さんのワークショップが地元福岡で開催されるというのを知りまして、そこで演出が学べる、という触れ込みだったので何の予備知識も無しに受講したんです。そうしたら演出というより、役者のための、舞台に立つ側の人向けのワークショップで。でもそこでの体験がまたとても面白くて。ああ、絵コンテも脚本も無くても、人との掛け合いでその場で面白いものが生み出せるんだな、お芝居の世界はと。
 そこで出会ったメンバーともすごく良い関係が築けて。だからそのワークショップだけで、せっかくの出会いが終わってしまうのも寂しいなと思って、そこで得た知識も生かしたいし、と思って、それまで卒業制作のために作ってきたものを全部捨てて、お芝居と自分のCG技術を融合させてなにか作ってみようということで出来たのが「Peeping Life」の前身となる、「EACH LIFE」という作品だったんです。お芝居からのスタートなんで、脚本も絵コンテもいらないし、1カットで、自分で勝手に作って、怒る人もいないしとりあえず作ってみよう!と。
 今の作品と比べるとまだまだ幼稚なものですが、手さぐりで少しずつ形になっていった原点がその時に産声を上げた、ということです。役者さんも、何人か新しく入った方もいますが、DVDにおいては基本的にはそのワークショップで出会った初期メンバーが参加しています。

――実際作品では絵コンテも無しで、ということなんですが、どこまで決めて創られるんですか?

森: それこそ、こんな設定だよ、という一枚の紙だけです。僕の中で展開の助け舟、というかそういうものはあるにはあるんですが、それも伝えずに面白くなればそれでいいし、伝えたとしても役者の片方だけに、とかです。役者さん同士も打合せしないで撮影直前に一言二言話すくらいで。下手すると当日設定を知るくらいですから。「あ、俺アトムなんだ」みたいな。(笑)


役者さんのリアルな演技があって初めてあの作品が生まれるのだ!

――それはすごいですね!

森: でも、毎回撮影が終わった時は役者は皆、自暴自棄に陥るみたいですけどね。「今日は駄目だった」「○○君の方が面白かったよ……」と口々に言っています。
 となりの芝生の方が青く見えるみたいですね(笑)

――今回のコラボ企画についてはマンガの原作がある分、役者さんはやりやすかったんですか?

森: 今回の企画はですねえ…。どうなんですかね?やりづらかったんじゃないかと思いますね。
 原作のキャラクターをある意味無視してはいるんですが、どこかに意識しなくてはいけない訳ですね。自分が出ちゃダメなんで。ある程度お芝居のハードルは上がっていると思いますね。ボヤッキーの顔をして、僕らの普通のしゃべり方じゃちょっと違うので。語尾であるとか、ブラック・ジャックであれば”おい、おまえさん”と言ったり。
 よく言うセリフであったり、原作の中のエピソードを話の中に入れたら面白いんじゃないかとか、キャラクターをイメージ出来るような資料というのは役者にも見せて、説明をしていました。


ボヤッキーとブラック・ジャック、夢の競演!

――今も地元福岡で活動されているということなんですが。

森: そうですね。東京に来るのも月に1、2回くらいですかね。今となっては福岡の方が家賃も安いし人も少ないしでやりやすいんで幸運だなあと思ってはいますが、最初からその利点を見込んでいたわけではないので、絶対に福岡で、ということは特にないです。
 今回のキャラクターデザインも半分くらいは僕がやってるんですが、第1弾である黄色の「Peeping Life」(-The Perfect Edition-)は、(デザインやCG制作、編集など)全部僕一人でやってるんですけど、やろうと思えば一人で福岡で最後まで出来ちゃうんです。まあ、やろうとは思わないですけど。廃人になるので。(笑)なので今は分担してやっています。


作品は温度感。僕の作品の中ではヒーローは全然活躍しません(笑)

――作品を創る時に心がけていることは?

森: やっぱり、温度感ですかね。そこまで加熱しちゃいかんだろ、というところ。それと、エピソードの中でテーマとしているところが、陽の当らないような、相当地味なことに対してやり取りをする、ということは大事にしていますね。例えばアイドル二人がいたとしても、テレビの前じゃ見せない裏側の設定、というか。結局そんな特別な二人であっても、人間だよ、特別な人間なんてどこにもいないんだよ、というのが伝わるようにしていますね。今回もアトムやブラック・ジャックって、つまりは「ヒーロー」じゃないですか、言ってみれば。でも、僕の作品の中ではヒーローらしからぬ、というか、人を救ったりしないし、戦わないし、活躍、全然しない。(笑)
 例えば今回のリボンの騎士は、女の子なんだけどチンクに男の子の心を入れられて男の子としてふるまっているけど結局は女の子という結構複雑な(心理的な)設定は生かして、それをより面白くするにはどうすれば良いんだろう、単なるどうでも良いような悩みにするにはどうすれば…戦う訳でもないですし。じゃあ××したら(ネタは観てのお楽しみ)という1つのアイディアを膨らませたり意見を出し合ったりしていきます。


監督、森りょういちさん

――この作品を観た方はどう思うと思われますか?

森: 手塚作品は、テーマが深いんですよ。ブラック・ジャックもアトムも要は「生と死」、という。そこはやっぱりデリケートじゃないですか。そこはやっぱりモジれないので。だから手塚作品に関してはやっぱりアイコンを借りるしか無いんですよ。ちょっとした設定をお借りする、アトムだったら、空を飛ぶとか、胸が開く、ブラック・ジャックであれば、医者だ、とか、そこらへんを使ってどう脚色するか。原作知ってる世代からは、今回の作品を観て、「全然深くない!浅い!まあでも楽しいから良いか」、と。逆に知らない世代がこれを観てから原作を読んで、「めっちゃ深いやん!」「めっちゃいい話やん!裏切られたわ!」となっても、それはそれでいいかな、と。あとはもう対照的に嫌悪感を抱くか。「嫌いなんですけど、これ〜」「こんなことしないでください!」、と。それはもうウェルカムですよ。
 あとはもうやりたかったのはミックスしているものですよね。手塚作品の中でのミックスでは、マグマ大使とブラック・ジャックなんてそもそも頭身が違いますからね。マグマ大使6mくらいありますからね。どう同じ場所にいさせようかと考えましたよ。
 それと手塚とタツノコのミックスでは、ブラック・ジャックとボヤッキーとか、キャシャーンとトリトンもあり得ないですからね。
 そういう意味で、今までの「Peeping Life」だったら一般の日本人の現代のお話なので、爆発とかしないじゃないですか?だからそういう部分は、大いに楽しみましたね。

――今後の展望や新しい企画はなにかあるんでしょうか?

森: それはまだ(頭を指さし)この中にしかないですね。ゴチャゴチャしてるんで。アイデアはバーゲンセールのようにどんどん出てくるんですけど。

――手塚先生みたいですね!

森: 手塚先生の言葉をお借りしただけです。(笑)

――今回の「手塚タツノコワンダーランド」の企画を楽しみにしている方々に一言メッセージをお願いします。

森: これはもうズバリ一言、「たのしいよ。」(笑)






(C)手塚プロダクション/タツノコプロ/FOREST Hunting One/CoMix Wave Films

2013年6月25日(火)DVD「Peeping Life 手塚・タツノコプロ ワンダーランド」発売
また、DVDには収録されないオリジナルエピソードをYouTube「アニメバンチョー」にて配信。DVDとYouTubeで2度おいしいコラボとなっております。ご期待ください!!

タイトル:「Peeping Life(ピーピング・ライフ)手塚プロ・タツノコプロ ワンダーランド」
-本編- 
1、 【キャシャーン!新造人間誕生?!】編
2、 【ボヤッキー、ヤッターワンを拾う】編
3、 【スタイリッシュハクション大魔王】編
4、 【剛とミチ ドライブデートでGoGoGo】編
5、 【アトム グレる】編
6、 【リボンの騎士な悩み】編
7、 【写楽くん はじめてのコンビニバイト】編
8、 【マグマ大使とブラック・ジャック】編
9、 【トリトン、キャシャーンそしてルカー】編
10、【ボヤッキーとブラック・ジャック】編


-映像特典-
ユニバーサル映画100周年キャンペーンコラボ映像
1、【ショータとコータ E.T.との遭遇】編
2、【父と娘 ジョーズなひととき】編

■本編約50分+特典映像約10分
■2013年6月25日(火)発売 1,575円(税込)



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