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オススメデゴンス!:2010年9月号 『大洪水時代』(『地球の悪魔』所収)

 みなさん、9月1日は「防災の日」です。関東大震災や、伊勢湾台風のあったこの日には、万が一の災害に備えて、学校などで防災訓練が行われますよね。
 手塚作品の中にも、災害を題材にしたサスペンスがいくつもありますが、その中でも最後の「じんとくる」度が半端じゃない作品をご紹介します!
 皆さんも、災害への備え、もう一度見直してみてくださいね。



(手塚治虫 講談社刊 手塚治虫漫画全集『地球の悪魔』あとがき より)


解説
 (前略)
 「大洪水時代」は短い作品で、「おもしろブック」の別冊付録についたものです。ぼくはノアの箱舟伝説が好きで、どうもいろんな作品に出したがるのですが、これにも箱舟が出てきます。「日本沈没」の洪水版のようなストーリーは、その頃読んだ何かの記事に、「もし北極の氷が全部解けると、何十メートルか水位が上がって、東京一帯は水の下に沈没する」というのがあって、それをヒントにしたのでした。

 


<Amazon:地球の悪魔 (手塚治虫漫画全集 (9))


読みどころ:

 どんなに怖いもの知らずの豪傑ごうけつだって、だれよりも偉い王様だってかなわないものと言えば、天変地異。自然災害だけはどんなに人事を尽くしても、さいごのさいごは天命を待たなければなりません。


オススメデゴンス!:2010年9月号 『大洪水時代』(『地球の悪魔』所収)

 この『大洪水時代』もまた、そんな話。時代は未来。高度な科学文明を築いた日本では丁度『ノアの箱舟』の時代のように、人々は自然を省みず、地上をわがもの顔で闊歩かっぽしています。そこに突如襲いかかる大津波。人間の横暴に牙を向く自然。こうなるとどんな武器も文明も歯が立ちません。

 日本軍の技師を務める海老原鮫男えびはらさめおには、心を病んでしまった弟がいました。父にも、兄にも見放されたこの弟、海老原鯛二えびはらたいじは病院に入れられ、たまに訪れるのは親友だった浦島少年のみ。ある日、その鯛二の病院に三人の脱獄囚が押し入ってきます。ならず者どもはちょうどその時見舞いに来ていた浦島少年や鯛二の父を人質に、病院に立てこもります。そこに突如襲ってくる大津波! とっくに他の人々は山奥などに避難して、街に残っているのは鯛二ら人質と脱獄囚のみ。さて、彼らはいったいどうなってしまうのか。

オススメデゴンス!:2010年9月号 『大洪水時代』(『地球の悪魔』所収)

 脱獄囚だつごくしゅうを演じるのは、ヒゲオヤジにアセチレン・ランプといったレギュラーの手塚スター。鯛二の兄鮫男にはメイスンをキャスティング。ストーリーもページ数の少ない作品ながら意外な展開や凝った伏線などが用いられた鮮やかなもので、ちょっとした長編漫画くらいの読み応えがあります。


オススメデゴンス!:2010年9月号 『大洪水時代』(『地球の悪魔』所収)


 大災害という、だれにも逆らえない状況において、切羽詰った人間はどんな行動を、そしてどんな心の動きを見せるだろう? この作品はそんな問題にも一つの答えを見せていて、特に脱獄囚たちの心の動きの変化はなかなかに興味深いものがあります。意外な人物が意外な面を見せたりしているので、そんなところにもご注目ください。
 そしてやはり、じんとくるラストシーンは必見。サスペンスとすがすがしい感動の両方を味わえる名作です。







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