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特集2:国書刊行会 復刻版シリーズ舞台裏 「手塚治虫オリジナル版復刻シリーズ 全3巻」企画・編集者インタビュー
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お二人ツーショット。
左が企画者の濱田さん。
ファンマガジンの読者にはおなじみです。
右が編集者の樽本さん。

「憧れの作家の幻の作品」というのは、いつの世もファンの心を躍らせるものです。
  手塚治虫の場合、単行本化する際に必ずといってよいほど、原稿の編集が入る、というのは、ファンの間では有名。雑誌に連載されたそのままを今のファンが読むのは至難の業なんです。
  全集で読める作品でも、オリジナル版を読んでみると、ぜんぜん読んだこともないエピソードがのっていた、という発見があるらしい。そんなオリジナル版を雑誌掲載時そのままに復刻しちゃおう! というファンにはうれしい挑戦が、最近続々と具体化されています。
  そんないろいろな企画の中から、今回は国書刊行会から出る「手塚治虫オリジナル版復刻シリーズ 全3巻」にスポットを当て、企画者の濱田高志さん、編集者の樽本周馬さんにお話をききました。

 




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<手塚治虫オリジナル版復刻シリーズ>(全3巻)

――企画が立ち上がったきっかけはなんですか?

濱田さん:彼(樽本さん)も僕も同じ関西出身で、共通の友人から彼のことは聞いていました。それで2003年ぐらいにたまたま連絡を取るようになって、「なんか一緒に仕事できるといいね」というような話をしていました。
  もともと僕は手塚ファンなので、今のファンクラブも会誌0号のころからの会員なんです。手塚プロとはファンマガで連載させてもらったり、ソニーでアトムのトリビュートアルバムを作ったり、一時は、るみ子さんと一緒にラジオ番組をやらせていただいたりとつながりがあったので、彼とも手塚作品で何かできるといいね、という話をしていたら、友人でもあるジェネオンの森さんが、「リボンの騎士」や「ぼくのそんごくう」を復刻していて。そのうち自然とああした形で連載当時の状態のものを何か復刻できないだろうか、という企画が持ち上がってきました。

――作品のラインナップはどのようにして決まったのでしょうか。

濱田さん:一番最初に案が出たのは全集版に改変がたくさんある「サボテン君」でした。他にも同じように改変が多くて、まだ復刻していない作品をピックアップしましょう、というので、いったん資料室の森さんに企画を預けました。
  資料室の森さんと言えば僕らファンクラブの会員からすれば、もう手塚博士なわけですから、森さんの言うことであれば間違いないだろう、と。
  森さんのほうからあがってきたのは「サボテン君」「冒険狂時代」「ピピちゃん」「ケン1探偵長」でした。

――ラインナップについて、他に何か意見交換はされましたでしょうか。

樽本さん:最初にリストみたいなものをいただいて、できれば全5冊ぐらいで出したいな、と思ってましたが、まずは3冊で始めましょうということになりました。出す順番はリストが年代順になっているので、前から時系列に並べました。

――この4作以外に「快傑シラノ」が併録されるみたいですね。

濱田さん:「快傑シラノ」にはサボテンも出演していますし、連載が「快傑シラノ」を挟んで一部、二部になっていますから。
  数多い手塚作品のなかでは「サボテン君」は決してメジャー作品ではないですが、キャラクター的にも面白いし、連載第1回のサボテンをロックが演じたりして、後年の版では描き変えられていますから、是非オリジナルの形で復刻したいと思ったんです。
  「サボテン君」は全集だとけっこう薄いじゃないですか。ところが、連載分全てを集めると、意外と厚いんです。ぜんぜんボリュームが違うので、いかにカットアップされちゃったか。実際、オリジナルを読んだことのある人は、僕らみたいな世代だとほとんどいないんじゃないでしょうか。
  そういった意味でも今回の「サボテン君」の復刻は、ある世代以降には新作ですよ。旧来のファンにとっては、懐かしい作品でしょうけど、新しいファンにとっては完全に新作ですよね。

ここで、樽本さんが現在構成中の「サボテン君」のゲラを持ってきてくれた。
かなり分厚い束になっている

――これが「サボテン君」一巻分ですか!?

樽本さん:ええ。

――今は、どのような作業をしているのですか?

樽本さん:手塚プロの森さんにチェックを入れてもらって、明日ぐらいにゲラの再校が上がってきます。「サボテン銃を取れ!」を別冊でこういう形でつけます。「サボテン君」連載分と「快傑シラノ」を合わせると280ページぐらいありますね。
  「快傑シラノ」が前編完、で終わって、ふたたび「サボテン君」が開始するときの、サブキャラクター(クリスチャン)で出演していたサボテン君が再登場の仕方があざやかな楽屋オチで……(笑)ほんとに楽しい。
濱田さん:今だったらありえないですよね。実に大らかです。

――B5判で箱入りの、大変豪華な本ですが、このような形にしたのはなぜですか?


分厚い「サボテン君」の見本(右)。装丁などはまだ入っていない、白い状態で一度本を作ってみるんですね!
濱田さん:その昔「虫の標本箱」というのがあったんですけれども、あの辺の復刻ものって、ちゃんと箱入りでつくりが良いんですよ。硬い箱に入っていて、かつ、ハードカバー上製本ですから。そこにグラシン紙がかかっていると文学的な雰囲気もあって……なんていう話をしていたら、彼ももちろんそういう本がいいだろう、と。
樽本さん:50年代の先生の絵は小さなコマに細かく描かれているので、全集版でも小さいですけど、文庫版なんかだと本当に豆粒みたいになってしまうのでもったいないなあと。あと4段を3段にされているような改変が多いですから、雑誌掲載そのままのサイズ(B5判)で読めるのが一番理想的なのではないかと思います。


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