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講談社 手塚治虫漫画全集「海のトリトン」3巻 表紙用イラスト 1979年

ストーリー

トリトン族の最後の生き残りである少年トリトンが、海の支配者ポセイドン一族と闘う海洋冒険SFマンガです。

トリトンは、海の支配者であるポセイドン一族に、皆殺しにされたトリトン族の最後の生き残りでした。

人間に育てられたトリトンは、やがて海へ帰り、イルカのルカーたちに助けられながら成長して、もうひとりだけ生き残っていた人魚のピピ子と出会います。
やがてふたりは結婚し、7人の子どもが生まれました。

しかしトリトンは、ポセイドンのワナにはめられ、人間の敵に仕立てられてしまいました。

トリトンは立ち上がり、ついにポセイドンとの決戦を決意するのでした。

解説

1969/09/01-1971/12/31 「サンケイ新聞」 連載

地球のどこかに未知の世界があって、そこに人間とは違った、しかし同等の(時にさらに優れた)文明を持った別種の人々が暮らす世界がある。

地底とか、海の底とか、砂漠の果てなどに前人未到の地があって、そこの人たちと交流したり、いっしょに暮してみたい、というロマンをめいっぱい満たす物語です。

「海のトリトン」のように、海の中に暮らす人魚たちを主人公にした作品は、ほかにも「エンゼルの丘」、「ピピちゃん」などがあります。

この作品は大長編ですが、日刊新聞に1日1ページという形式で2年以上にわたって連載されました。

物語の始まりは、赤ん坊だったトリトンを拾った人間の少年・和也が主人公でしたが、和也はすぐに物語の主流から外れ、トリトンが主人公となっています。

連載時のタイトルは「青いトリトン」でしたが、テレビアニメ化のときに『海のトリトン』に改められました。

主な登場人物

トリトン

トリトン

海を住処とする人魚・トリトン一族の忘れ形見の少年。幼いころに乳母のルカーによって陸に捨てられたところを、和也少年に見つけられ、育てられる。幼いころに両親をポセイドン王に殺された。
>キャラクター/トリトン

トリトン

矢崎和也

和也の母

矢崎和也

小さな漁村に暮らしていた少年。トリトンを見つけて拾った。父を津波で失い、母と共に東京へ引っ越すが、やとわれ先で人を殺してしまい、警察に追われる身になる。

和也の母

夫を失った後、息子の和也、トリトンとともに東京に引っ越す。和也が人を殺して行方知れずになった後も、トリトンを親身になって育てる。

丹下全膳

沖洋子

丹下全膳

トリトンが出会った水泳の先生。水府流の達人の侍を父にもつ老人で、八七歳。スパルタ式の指導法だが、心はやさしい。

沖洋子

トリトンの初恋の少女。実業家の父とは折り合いが悪い。心臓に病気があり、医師からはスポーツを止められているが、トリトンに水泳を教えてほしい、と頼む。

ルカー

ピピ子

ルカー

トリトンの乳母の金色のイルカ。トリトンに海の世界の知識を教えてくれる存在。
>キャラクター/ルカー

ピピ子

人魚の女の子。海をさまよっていたところトリトンに助けられる。その後、美しい人魚に成長し、トリトンと結婚し7人の子どもをもうける。

ポセイドン

ポセイドン

海の世界を統治する王だが、有能な臣下であったトリトンの父の諫言を聞かずに殺してしまった暴君。トリトン族の生き残りを危険視し、子どもたちにトリトンを狙わせる。

ポセイドン

ターリン

ヘプタポーダ

ターリン

沖洋子の家に運転手として勤めているが、じつはポセイドンの部下の一人。素早く泥に潜ったり、脱皮ができたりと、カニの特徴を持っている。

ヘプタポーダ

ポセイドンの娘。洋子の父に近づき、鉄を大量に仕入れていた。トリトンと闘って重傷を負ったが、助けられて介抱されているうちにトリトンの味方になる。

ドロテア

ガノモス

ドロテア

ポセイドンの33番目の娘。ポセイドン王の一番のお気に入り。イカのように体色を自由に変える能力を持っている。

ガノモス

トリトンに知恵を授けてくれる年老いた巨大なカメ。トリトンに戦いのむなしさを説く。曽祖父の遺骸は「甲ら島」となっており、トリトンたちの隠れ家となった。

手塚治虫が語る「海のトリトン」

丹下全膳のシゴキ

サンケイ新聞に、長い間「鉄腕アトム」を掲載したあと(編注:「アトム今昔物語」のこと)、編集部との話し合いで、"海を舞台にした熱血もの"をかくことにきめたときは、まだ、こんなSFふうのロマンにするつもりはありませんでした。

当時は「巨人の星」や劇画が全盛の頃で、新しい連載漫画も、それらの熱血・スポコン的なアクションを、なるべく強くいれてほしいという要望がありました。ぼくは、どうもそういうムードのものは苦手なのです。それでも、「海のトリトン」のはじめのほうに丹下老人なんていう硬骨漢を登場させたり、シゴキをやらせたりしたのは、そういう要望をいれてのサービスです。

しかし、かいていくうちに、物語は、はじめの構想からどんどんはなれて、SF伝奇ものの形にかわっていきました。よく、主人公が作者のおもわくどおりに動かず、かってに活躍をはじめることがあるといわれますが、トリトンの場合もそのとおりで、あれよあれよと思っているうちに、ポセイドン一族やルカーやゴーブができていってしまったのです。
(後略)

(講談社刊 手塚治虫漫画全集『海のトリトン』4巻 あとがきより抜粋)

丹下全膳のシゴキ

秋田書店 サンデー・コミックス「海のトリトン」2巻 表紙用イラスト 1973年

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  • 海のトリトン (1)
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